九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

材料

熟す前の青いパパイヤを中心に、ニンジン、もやし、ポーク(ランチョンミート)、ツナ、ニラなど

味付け

味付けに使うのは出汁、塩、醤油などのシンプルなもの。さっぱりとした味わいは暑い時にぴったりだ

作り方

パパイヤは種とワタをとって皮をむき、粗めの千切りにする。その他の材料と一緒に炒めて味付けする

語り 郷土料理 めんそーれ 与儀弘の「パパイヤイリチー」

与儀弘さん

沖縄の主要幹線道路 国道58号線からすぐのお店は、官庁街や国際通りに近い那覇の中心地にある。カウンターやテーブル席、座敷などを配した店内には、壁にずらりと並ぶメニューや沖縄の青い海の絵などが飾られ、沖縄らしい親しみやすさを感じる空間だ。
「割烹などで働いた経験もありますが、まぁ、敷居が低いというんですか(笑)…気軽でくつろいだ雰囲気の中で味わえる沖縄ならではの珍品料理がうちの店の一番の魅力じゃないですかねぇ」と、料理長の与儀弘さんは笑う。

店内の水槽にはイキのいい『セミエビ』や『カノコイセエビ』などが泳ぐ

店内の水槽には、沖縄本島周辺でしか採れないという『セミエビ』や、宮古島産の『ヤシガニ』が泳ぎ、地元の人も滅多にお目にかかれない珍しい県産食材もそろう。
「沖縄の家庭ではおなじみのチャンプルー料理も30種類以上ありますよ。『ゴーヤーチャンプルー』など今では全国的に名の知れたチャンプルーも人気ですが、沖縄の“くるま麩”を使った『フーチャンプルー』や、独特の苦みのある葉野菜を使った『ニガナチャンプルー』などは珍しがられますね。全体的に昔ながらの沖縄の家庭の味そのままに、素材そのものの味や食感を生かし、さっぱりとした味わいに仕上げています」。

青いパパイヤを野菜として使う『パパイヤチャンプルー』も本土からのお客さんが珍しがって注文する料理のひとつだという。

パパイヤは目の小さいしりしりー器でおろす

「『パパイヤチャンプルー』という名前で出してますが、作り方は『パパイヤイリチー』とほとんど一緒。皮をむいたパパイヤは“しりしりー器”でおろします。味が染みやすいよう目の小さいもので、細めにおろしていますね。実が固い青パパイヤはうちではいったん下茹でしています。アクが強い食材なので、茹でることでアク抜きにもなる。青パパイヤの持つ歯ごたえを損なわないよう、炒め時間も考慮して、様子を見ながら固めに茹でるのがコツです。茹であがったパパイヤを水洗いして、冷蔵庫に保存しておくと便利ですよ」。

塩を入れたお湯で下茹でし、水洗いして水気を切る

下茹でしたパパイヤを味見させていただいた。アクが抜けて、程よい硬さを残すパパイヤは、ほんのりとした甘みが感じられ、そのままでも美味しい。
「パパイヤと相性のいい野菜は、ニンジンやニラ。彩りもきれいですし、チャンプルーには定番の野菜です。ポーク缶詰めや、日持ちするように揚げてある沖縄のかまぼこも下準備が手軽で、チャンプルーの具材として一般的です。チャンプルー料理はすぐに作れて、たっぷりなことが長年家庭で親しまれている理由のひとつでしょうね」。

パパイヤを下茹でしておけば、その後の調理はものの数分。生活の知恵が生かされた昔ながらの時間短縮メニューに、与儀さんのアイデアも加味されているというわけだ。
「味付けにはカツオ出汁や塩のほか、ニンニク、ゴマ、醤油、砂糖にリンゴの絞り汁でまろやかさを出した特製ダレを使っています。このタレも作っておけば、いろんなメニューに使えますし、便利です」。

油を引いたフライパンでポークに焦げ目をつけ、ニンジンとかまぼこを入れる

油をひいたフライパンにポーク、ニンジンを入れ、ニンジンが少ししんなりしたら、パパイヤと出汁を入れる。

ニンジンに少し火が通ったら、パパイヤ、次いで出汁を入れて、水分が飛ぶまで炒める

やや強めの中火で水分をサッと飛ばし、調味料とニラを馴染ませたら完成だ。

塩とタレで味付けし、最後にニラを加える

程よくしっとりとしたパパイヤに出汁の旨みと特製ダレの風味が香り、シンプルな味わいの中に深みを感じる。さっぱりと味付けされた『パパイヤチャンプルー』は、他のメニューとの相性も良く、焼酎のおともにも最適だ。

沖縄の方言で「ようこそ」という意味の店名を持つ『めんそーれ』。
「地元のお客さんも観光の方もみんなウェルカム(笑)。チャンプルーに限らず、獲れたての魚をシンプルに塩だけで煮る『マース煮』など、沖縄の昔ながらの料理には奇をてらわず、素材そのものの味をしっかりと感じることができるものが多い。長年親しまれている家庭料理の良さは、決して華々しくはないけれど、飽きがこないところだと思います。ふと思い出して食べたくなるような、そんな料理は店でも提供し続けたいですね。時代の流れに添って、マイナーチェンジがありながらも続いてきた伝統の味は、次の世代にも繋げていきたい。より多くの人に親しんでもらうことで、いろいろなバリエーションが登場してくるのも、おもしろいところです。

『パパイヤサラダ』も夏にもってこいの爽やかさ

うちで出している『パパイヤサラダ』も、梅ドレッシングで、さっぱりと食べられるオリジナルメニュー。両方を食べ比べてみるお客さんも多いですよ!」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

パパイヤイリチーの素焼き

パパイヤ、ニンジン、ニラ、ポークの缶詰めや沖縄風かまぼこなど、材料は沖縄の一般家庭で馴染みのもの。野菜の食感が均一になるように炒める

調味料

ニンニク、ゴマ、醤油、砂糖に、りんごの絞り汁を合わせた自家製ダレがこのお店の味付けのポイント。まろやかな旨みで焼酎との相性もよい

作り方

少量の塩を入れパパイヤを下茹でする。食感が損なわれないよう、様子を見ながら固めに茹でるのがコツ。水洗いして冷蔵庫に保存しておくと便利だ

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郷土料理 めんそーれ 近海の珍味と味わう沖縄家庭料理

沖縄情緒溢れる気軽な店内で、セミエビやヤシガニ、夜光貝など、沖縄県内でも珍しい高級鮮魚が食べられる。チャンプルーなどの郷土料理も30種類以上豊富にそろい、沖縄の家庭の味そのままに、シンプルに仕上げてある。『パパイヤチャンプルー』は下茹でした細切りのパパイヤに、自家製ダレとカツオ出汁の旨みがじんわりと染みている。

下茹でしたパパイヤをタレと出汁でサッと炒めた『パパイヤチャンプルー』600円
ミソの味が甘くて濃厚な『ヤシガニ』100g 1,000円〜(写真は500g)
噛むほどに甘さが広がるコリコリとした食感のセミ海老ほか、沖縄近海の海の幸を満喫できる『セミエビの造り』時価
梅ドレッシングでいただくとまた違った味わいをみせる『パパイヤサラダ』800円
壁のメニューや海の絵、ポスターにも沖縄らしさが漂う

郷土料理 めんそーれ

住所 那覇市久米1-1-25
電話 098-866-8208
営業 17:00〜翌2:00
休み なし
60席
カード
駐車場 なし
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