九州の味とともに 冬

福岡 ドゥルワカシー

琉球王朝の宮廷料理にルーツを持つ
泥の中で育つ田芋を使った素朴な味

不思議な名前は沖縄の言葉で直訳すると“泥沸かし(泥を煮る)”という意味。材料の中心となる田芋(たいも)は田んぼの中で育ち泥だらけであることから、その名がついたと言われている。元々は琉球王朝で食べられていた宮廷料理の一つだ。

田芋と田芋の茎をゆでて(あるいは蒸して)アク抜きをする。その後、つぶした田芋と、細かく切った茎に豚肉などの具材を合わせ、出汁や調味料を加えて火を入れながらじっくりと練り上げていく。ほどよく粘りが出たらできあがり。見た目は里芋に似ているがまったく違う田芋独特の風味ともっちり感。その中に出汁の旨味が広がる素朴でやさしい味わいだ。出汁はカツオ出汁や豚出汁が使われることが多い。調味料は基本的には醤油や砂糖などだが、様々な旨味が凝縮しているラフテーの煮汁が使われることも多いようだ。

沖縄では田芋は『ターンム』、茎の部分は『タームジ』と呼ばれることが多い。また、栽培時、親芋のまわりにたくさんの子芋ができることから、『ドゥルワカシー』は子孫繁栄を願い、昔から祝い事やお正月の席でよく食べられている。最近では、『ドゥルワカシー』をまるめて揚げた料理『ドゥル天』もよく知られている。

■田芋について

沖縄県内で田芋の栽培が盛んなのは金武町(きんちょう)と宜野湾市大山(ぎのわんしおおやま)だ。金武町で田芋を栽培している宮城信光(みやぎのぶみつ)さんを訪ねた。

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●植え付けと収穫
「田芋は水を張った田んぼで育てます。苗を植えて1年ほどで収穫します、収穫の中心となる時期は7、8月とお正月の頃ですね。お盆とお正月は『田楽』、『砂糖醤油』、『ドゥルワカシー』などで田芋を食べる人が多いので、需要が多くなるからです。植えるのは手作業ですね。草取りも手作業ですが、大きく育って葉っぱで影ができると、そこには草は生えなくなります。よくできていますね(笑)。台風が来て倒れるとだめになってしまうので、台風だけが心配です。収穫の時期になったら毎朝確認して、収穫する場所を決め、田んぼの水を抜いて収穫します。収穫の時に茎から出る汁に触れるとかゆくなるので大変ですよ(笑)」。

田芋畑

●出荷
「収穫した田芋は生のまま冷凍保存し、蒸して出荷します。田芋の種類はいくつかありますが、品種改良されたものの中には1コが800~900gになる大きなものもあるんですよ。このあたりはずっと昔から田芋の栽培をやっていて、かつては宮廷料理の材料として上納していたようです。偉い人が食べていたんでしょうね(笑)。沖縄では『タームー』と呼ぶことが多いですが、ここ金武では『ターマァーム』とも呼んでいます」。

収穫した田芋の泥をおとす宮城さん

茎を切り落とした田芋

●食べ方
「『ドゥルワカシー』も美味しいですが、天ぷらにしたり、炒め物に使ったり、刻んでジューシー(沖縄風炊き込みご飯)に入れたりといろんな料理に使えます。熱を通すとムチムチするのが美味しいですね。茎を使った『ムジ汁』という料理もあるんですよ。

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「ドゥルワカシー」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
材料

中心となるのは田芋、田芋の茎。その他の具材は豚肉、キクラゲ、シイタケ、カマボコなどさまざまだ

味付け

昆布出汁、豚出汁などに加え、砂糖、醤油といった調味料が基本。ラフテーの煮汁が使われることも多いようだ

作り方

ゆでて(あるいは蒸して)つぶした田芋と、細かく切った茎に豚肉等の具材を合わせ、出汁や調味料を加えて火にかけ練り上げる

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