九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

かき

“ゴロタ石”と呼ばれる岩につく天然のかきを素潜りで獲る。中身が黄色っぽいこと、貝柱が大きいことが、高鍋の天然かきの特徴

焼き方・食べ方

殻がついたまま直接火にかけて、焼き過ぎないようにしていただく。濃厚な旨味とほどよい塩味があるので、調味料などは必要ない

自慢のかき料理

焼きかき以外に、酢がき、かきフライ、かき飯、かき鍋など、様々なかき料理があるが、各店、自慢のかき料理を工夫している

語り 秋山商店 秋山末義の「焼きかき」

秋山末義さん

目の前は日向灘の青い海。朝8時の『秋山商店』におじゃまして、かき漁に出かけられる前の店主・秋山末義さんにかきについてのお話をうかがった。
「日本には7種類ぐらいのかきがおるらしいけど、高鍋のかきは岩がき。岩にくっついとる天然の岩がきだよ。浮遊する受精卵が岩に付着したらそこで一生暮らすみたいやね。立派に成長するには3年くらいかかるよ。岩にびっしりくっついとるけん、横には大きく広がれんで、タテに大きくなって厚くなっていくんよね。ほんと、石のごとなっとるよ。殻に海藻とかついとるけん、わかりにくいけど慣れたらわかるようになるよ。漁は素潜り。岩についているかきをビル工事やらに使う鉄筋を加工して、先端をかま状にした“かき打ち”という道具ではいでいくんよね。力はいらんけどコツはいるよ」。

かきを獲るための道具『かき打ち』

天然のかきは高鍋だけのものなのかを尋ねてみた。
「日向から青島くらいまでには海岸線から数十メートルのところに瀬があって、そこにある“ゴロタ石”とか“玉石(たまいし)”と呼ぶ岩にかきがつくんよね。かきは塩水と真水がないと育たんので、小丸川と宮田川という2本の川にはさまれている高鍋がいいごたあね。なんもせんでもほったらかしとったら大きくなるよ(笑)。この沿岸一帯の都農と川南でもとれるけど、高鍋のかきが美味しいといってくれる人も多かね。かつて、漁師1人で1日200kgぐらいとりよった時期があって、減ってしまった時期もあったけど、資源保護ということで1人1日60kgにしてまたよくなったよ。大事にせんといかんね。1kgは6〜7個くらいで、お客さんの多か時は売切れの時もあるですね」。

車のタイヤに網をつけたものも一緒に海に入る

養殖のかきとは違う高鍋のかきは、見た目も違うが中身も違うとのこと。
「開けてみるとわかるけど、身がちょっと黄色っぽい色やね。貝柱が大きかね。1年中獲っていいとこもあるし、生では出さんけん、うちでは1年中食べられるよ。うちの店の前は海水浴場で、夏は外でも食べられるようにしとるけん、水着でかき食べよる人もおるよ(笑)。夏のかきが美味しいという人もおるけど、年が明けたら身が大きくなってぎっしり詰まってくるよ。それがまた美味しかもんね。菜の花が咲く頃が一番好きという人もおるよ」。

いざ海へ

特製のウェットスーツに身を包んだ秋山さんは、かき打ちを手に「じゃ、いってきます」と、海の中に入っていった。漁は2〜3時間、浅いところで水深2〜3m、深いところでは10mのところに200回以上も潜るのだそうだ。

特製ナイフで殻を開いて身を取り出す

漁が終わってかきがあがってきたら、秋山さんの奥様を中心に女性スタッフが忙しくなる。
「獲ってきたかきのうち、一番大きいものは焼きかき用にするので、殻の表面をよく洗います。海藻やらくっついてるのでこそぎ取りますね。その他のものは、外でナイフで殻を開いて身を取り出し、大きさによって分けときます。大きいのはかきフライ用、中くらいのは酢ヌタ用、小さいのはかき飯用です。殻むきは大変なんで、お腹が減る仕事ですね(笑)」。

かきフライの衣はあまり厚くしないようにして揚げる

こちらに訪れるほとんどの方が注文するのが『かき定食』。かきの酢ぬた、焼きかき、かきフライ、かき飯、味噌汁が付いているかき三昧のメニューだ
「酢ぬたは、かきを少しゆがいてから酢みそで和えます。これをお客さんに出した後、フライを揚げはじめ、焼きかきを焼き始めます。かきフライは、衣をつけすぎないようにして揚げます。塩こしょうは軽くしますが、ソースじゃなくて、レモンを絞って食べてみてください!! 焼きかきは、岩にくっついていた部分を上にして焼きます。焼いていると殻の色が白くなって乾いてきて、磯の香りがしてきますね。中からかきのエキスが吹いてくる音もいいでしょう?(笑)。 殻の中に残ったかきのエキスを焼酎に入れてのむ方もいますよ。高鍋のかきは焼いても小さくならないですね。かき飯は、ごはんとかきと水に塩少々を入れて炊きます。かきからいい出汁がでますよ」。

かきは焼いたらすぐに食べられるように殻から身を外す

どのかき料理からも、濃厚なかきの旨味が伝わってくる。その中でも、一番ダイレクトにかきのすべてが伝わってくるのは『焼きかき』。身のぷりぷり感、磯の香り、ほどよい塩気というかきの旨味がよくわかる。

かき飯は炊きあがったら卵をかけて混ぜ合わせる

こちらならではという『かきの味噌焼き』もいただいた。
「片方の殻を取った状態で焼いて、米みそ、マヨネーズなどを混ぜた味噌をのせて焼くんです」。

こんがりと焦げ目がつき香ばしい香り。味噌の味わいもあって一口和風グラタンのようでもあった。

『かきの味噌焼き』は、特製味噌マヨネーズを塗って焼く

次々に運ばれてくるかき料理。『かき定食』では数にして20コほどのカキをいただくこととなる。
「自分たちで取るかきやからたくさん入れてますよ。うちにはカキしかないけんね(笑)」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

かき

店主自らも素潜りして獲る天然がき。こちらでは1年中獲ることができるので、年間を通して新鮮なかきを食べることができる

焼き方・食べ方

『焼きかき』は、火を通しすぎないように焼く。調味料などは一切かけずに、かき本来の旨味を楽しむ

自慢のかき料理

かきの殻を外して軽く焼いてから、身に特製味噌マヨネーズを塗って焼く『かきの味噌焼き』は、焦げ目もついて香ばしい

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秋山商店 一年中食べられる天然かきを使った料理

昭和61年から高鍋の天然かきを使った料理を提供している。店主自らも素潜りして獲るカキは肉厚で濃厚な味わいだ。店の前は海水浴場で、夏には水着で焼きかきを楽しむこともできる。『かき定食』はかきの酢ぬた、焼きかき、かきフライ、かき飯が付く。身に特製味噌マヨネーズを塗って焼く『かきの味噌焼き』はこちらならではのメニュー。

『かき定食』2100円。かきの酢ぬた、焼きかき、かきフライ、かき飯、味噌汁が付いているかき三昧のメニュー
『かきの味噌焼き』単品630円。この他、夜は味噌味のかき鍋を楽しめる『鍋コース』(1人4200円、4名以上、要予約)も楽しめる
窓の外には日向灘が広がる店内

秋山商店

住所 児湯郡高鍋町大字蚊口浦6259-1
電話 0983-23-1945
営業 11:00〜21:00
休み 不定
80席
カード 不可
駐車場 あり
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