九州の味とともに 冬

鹿児島 とんこつ

味付けの素は、味噌、黒砂糖、芋焼酎
三つの甘味が生み出す濃厚な豚肉料理

“とんこつ(豚骨)”と表現されるが、骨を食べる料理というわけではない。ラーメンのスープに関係しているものでもない。豚の骨付きあばら肉を使う、豚の角煮に似た鹿児島の郷土料理だ。正式な名前は『とんこつ料理』だが、鹿児島では『とんこつ』と呼ばれている。家庭でも作られ、スーパーマーケットなどでも売られているほど鹿児島では馴染みの深い料理だ。薩摩武士たちが戦場や狩場などで作ったのが始まりと言われ、別名『武骨煮』と言われることもある。かの西郷隆盛も大好物だったのだという。

ぶつ切りにした骨付き豚肉を、一度焼いたり湯に通すなどして余分な脂分を落とした後、鍋の中で煮込む。味付けに欠かせないのは味噌、黒砂糖、芋焼酎。コトコトとゆっくり煮込んでいき、濃い飴色になって身がやわらかくなったらできあがり。いずれも独特な甘味とコクを持つ味噌、黒砂糖、芋焼酎の3つの風味と豚肉の旨味が重なり、芋焼酎にもごはんにもよく合う濃厚な味わいが生まれる。

鹿児島で馴染みのものをうまく組合わせてできあがった『とんこつ』。豚肉の臭みを抜き、身をやわらかくする役目もある芋焼酎なしには生まれなかった鹿児島の味だ。

黒糖

サトウキビの絞り汁を加熱し、濃縮したものを固めたもの。糖分は低いが独特の甘味を持つ。鉄分やカルシウムなどのミネラルを多く含み、低カロリー&高ミネラルの健康食

黒豚

『かごしま黒豚』について、鹿児島県農政部畜産課にお話をうかがった。

「約400年前に島津18代当主・家久によって、琉球から移入された豚が鹿児島の黒豚のルーツと言えます。その後、鹿児島で飼育されるようになりました。明治時代になりイギリス原産の黒豚・バークシャー種との交配により改良が進みました。昭和30年代までは、鹿児島県の豚と言えば黒豚だったのですが、昭和40年代後半から、産子数が多くて成長も早い白豚が年々増えていきました。そうして昭和50年には、鹿児島県の豚出荷頭数の中で黒豚の占める割合は1.6%にまで落ち込んでしまったのです」。

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そんな状況の中、黒豚を守ろうとする人たちが現れた。

「黒豚は美味しいんだ、残さなくてはいけないんだという動きが生まれ、その想いを県がバックアップしていったのです」。

徐々に頭数も増えていくなか、鹿児島県産黒豚の中でも、より一層の品質向上と銘柄確立を目指す生産者が集まり、「鹿児島県黒豚生産者協議会」が設立されました。この協議会会員の生産する黒豚は、一定の厳しい基準のもとで生産され、県が指定するかごしまブランド産品、「かごしま黒豚」として流通しています。その基準とは例えば、

  • 肥育後期60日以上、甘しょを10~20%添加した飼料を与えること
  • 230~270日齢で出荷すること

などだ。

「かごしま黒豚」は本物を確実に消費者に届けるため、協議会の指定する販売指定店では「かごしま黒豚証明書」が表示されており、この証明書は1999年に商標登録されています。現在は鹿児島県の豚出荷頭数の約20%が黒豚で、黒豚の中の半分が『かごしま黒豚』ですね」。

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西郷隆盛

幕末から明治にかけて活躍した西郷隆盛の終焉の地は鹿児島市中心部にある『城山』。たてこもった西郷隆盛は、この地で好物の『とんこつ』を食べることができただろうか。

城山の前に建つ『西郷隆盛銅像』

「とんこつ」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
豚肉

豚肉の骨付きあばら肉を使う。現在、飲食店では、鹿児島特産の黒豚の肉を使っているところが多い。軟骨を一緒に使う場合もある

味付け

基本は、味噌、黒砂糖、芋焼酎と鹿児島で馴染みの深いもの。仕上げにミリンを加えたりもする。使う味噌は麦味噌や合わせ味噌など

作り方

豚肉の余分な脂を抜いた後、調味料と一緒にコトコトと煮込んでいく。火を止めた後でねかせることで、肉に味がより染み込む

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