九州の味とともに 冬

桜島大根

鹿児島 桜島大根

大きいけれど、キメは細かく甘い味わい
鹿児島に冬を知らせる伝統野菜

鹿児島のシンボルであり、今も噴煙をあげる桜島を中心に栽培されている『桜島大根』。稲作には向かない火山灰土壌を利用し、江戸時代には既に栽培されていたようだ。ギネスに認定された世界最大の大根であり、通常でも5〜10kg、大きなものになると30kgを超えるものもある。鹿児島では、形や重さなどを競う『世界一桜島大根コンテスト』も開催されている。
表面も内部もきめ細やかで、生でも甘味が強く、辛味が少ないのが特徴。煮くずれしにくく、おでんやブリ大根、ふろふき大根などの煮付けにするにはうってつけで、鹿児島では冬の時期に郷土料理『とんこつ』の具材として使われることも多い。漬物や下ゆでして天ぷらにしても美味。刺身のツマとしても用いられる他、粗めの千切りのようにしたものは『つっでこん』と呼ばれ、『がらんつ(鹿児島の方言で、小型のイワシの干物のこと)』に添えられることも。口にすれば、一般の大根とは違う繊細な食感と味わいを感じることができる。
寒い日を迎えることで甘みが増すという『桜島大根』。旬の時期は12月〜2月と食べられる期間は短いが、鹿児島の冬に欠かせない食材の一つだ。

『桜島大根』の栽培

桜島で『桜島大根』の栽培を手がける坂本次夫(さかもとつぎお)さんを訪ねた。坂本さんは『世界一桜島大根コンテスト』で総合優勝の経験もある『桜島大根』作りの名人だ。

「種を蒔くのは9月初めだけど、8月から準備を始めるので夏の暑さはとっても大変だね。肥料を与えたりはするけど、水をやることはなくて雨が降るのにまかせてます。冬が来て寒くなった後に甘くなるよ。12月〜2月くらいが出荷の時期。

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桜島以外でも栽培されていますが、やっぱり桜島のが美味しいと思うよ。本場やからね(笑)。火山灰という土壌が『桜島大根』には必要なんやけど、どか灰(桜島の噴火によって 降る多量の火山灰)がくると、葉っぱにつもってだめになってしまう。昔は『桜島大根』を育てる人はたくさんおったけど、どか灰でだめになってしまった場所などもあって、今育てている人は30人くらい。その中で比較的広い土地で育てている人は自分を含めて5人くらいかな。昔はね、桜島でとれた『桜島大根』を船に乗せて各地に運んでいたんですよ。江戸時代から栽培していた伝統ある野菜やね」。

坂本さんと『桜島大根』
坂本さんの畑

収穫は機械で行なうことはできず、1つずつ手で抜いていく。

収穫は1つずつ人の手で行なう

普通の大根よりも細くて密集している葉のついた茎の部分を持って左右に揺らした後、引き抜く。土の中から現れる『桜島大根』はずんぐりむっくりとした形だ。坂本さんは木の棒で表面をコンコンと叩く。

木の棒で叩いて低い音がした部分を切ると…
空洞があった

「少し低い音がすると中に空洞がある可能性があるんよね」。微妙な違いだが、確かに音の高い部分と低い部分がある。実際に坂本さんが低い音のした部分を切ると、そこには空洞があった。「まるごと出荷するのは、そうやって調べた良いものだけ。茎の部分を藁で編んだ縄で結んで出荷するよ。表面のキメが細かいし、運ぶときも傷をつけないように注意せんといかんですね」。

藁を編んだ縄で縛って出荷する

『桜島大根』は、そのままスティックサラダにしたり、酢の物にしたり、煮物にしたり、下ゆでしたものを天ぷらにしたりして食べられている。葉は小さく刻んでチャーハンに入れることもあるのだそうだ。また、現地には『ぐるぐる巻き』と呼ばれる加工品がある。厚さ1〜2cmほどの厚さで輪切り(直径30cmくらいになる)にした『桜島大根』を、リンゴの皮を途中で切らずにむいていくようにする。こうして長いひものようになった『桜島大根』を干した保存食が『ぐるぐる巻き』だ。

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「桜島大根」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

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下ごしらえ

皮をむき、適当な大きさに切る。葉を落として2~3日置いておくと切りやすくなるとのこと。煮物に使う場合は下ゆでする場合も多い

煮物

代表的な煮物はぶり大根、ふろふき大根などで、煮汁でじっくりと炊く。旬の冬には郷土料理『とんこつ』の具材に使われることも多い

その他の料理

やわらかく甘みがあるのでそのまま生で食べても美味。酢の物、漬物、(下ゆでして)天ぷらなど、様々な料理でも食べられている

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