九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

具材

フル以外に、豚肉や豚肉の塩漬け、つけあげや厚揚げ、キャベツやニンジンなどの野菜などが使われる。家庭ごとで変わる

味付け

醤油ベースに砂糖を加えた甘辛い味や味噌味にすることが多い。こちらも各家庭で様々な味付けがある

作り方

まず肉類を炒め、フル以外の具材を炒める。最後にフルを入れて調味料を加え、ほどよく炒めたらできあがりだ

語り 居酒屋 誇羅司屋(いざかや ほこらしや) 前島克朗の「フルイキ」

前島克朗(まえしまかつろう)さん

奄美ご出身の前島克朗さんが地元でお店を開いたのは1982年。島の新鮮な魚介や野菜を使った奄美の郷土料理、伝統的な味に一工夫加えた創作料理を楽しめる。一人でもお願いできる『奄美満喫コース』は、8~9皿で16種類ほどの奄美の料理が楽しめ、県外客にも喜ばれている。

いつも食べられるグランドメニューとは別にある『今日のおすすめ』には旬の食材を使ったメニューが並ぶ。毎年、寒さを感じる季節になると、『フルイキ』も登場する。「“フル”はニンニクの葉のことで11月の末から3月くらいまで手に入れことができる冬の食材。“イキ”は炒めるという意味で、『フルイキ』はフルを炒めた料理ということですね。このあたり(奄美中心部の名瀬界隈)は『フルイキ』と呼びますが、シマ(集落)によって呼び方が違うんです。奄美の冬によく食べられる料理で、ニンニクの葉ですから精力がつく料理です」。

厨房で『フルイキ』作りを見せていただいた。「フル以外の具材は、キャベツ、ニンジン、自家製の豚の塩漬け、厚揚げなどです。下ごしらえとしてフルは4cmほどの長さに切り、ややかたい根元の白い部分とやわらかい緑の部分に分けておきます」。

フルは4cmほどに切って、根元のほうと緑の部分とに分ける

「油をひいて豚の塩漬けを炒め、キャベツ、ニンジンを炒めます。続いてフルの根元のほうを先に炒めます。緑の部分を炒めたら特製タレを入れてさらに炒めてできあがりです。醤油がベースで島ザラメなどを加えた甘めの特製タレですよ。このタレは『フルイキ』だけに使います」。

自家製の豚の塩漬けを炒め、厚揚げを投入する
野菜とフルを加える
秘伝のタレを加えて、軽く炒めてできあがり

炒めている最中から、まわりにはニンニクとタレのからみから生まれるいい香りが漂う。香りだけでも焼酎のつまみになりそうだ。口にするとニンニクの香りと甘辛い味わいが広がり焼酎がどんどんすすむ。「甘辛い味付けは焼酎のつまみになる味ですし、また食べたくなる味ですね。焼酎はもちろん、ごはんもすすみます。ごはんの上にのせて食べたりもするんですよ。私も小さい頃からよく食べていました。昔はごはんのおかずで、今は酒のつまみになっていますが(笑)。まさにおふくろの味ですし、家庭ごとに具材が違ったり味が違ったりします。奄美の大切なシマジュウリ(島料理)ですね。家庭ではフルを味噌汁に入れたり、白い部分を塩漬けにしたりもしますよ。『トンコツ』に添えたりもします。『フルイキ』は香りが強いのですが、フルの塩漬けはさらに強いです(笑)。フルの塩漬けはメニューに出している時もありますよ」。『居酒屋 誇羅司屋』ではフルのみじん切りを入れた『手作り羽ギョーザ』、フルを加えた(フルがない時はニラを使う)大和村風の『ジャコ出し平うどん』など、その他にもフルを使った料理を提供している。11月終わりにおじゃました取材班は、すべてをいただくことができた。「フルのフルコースをご用意することができました(笑)」。

最後に奄美の料理に対する前島さんの想いをうかがった。「昔は奄美の暮らしは裕福ではありませんでした。どこの家も自家菜園をやり、できるだけ自給自足していました。フルもそうですね。そこにあるものを料理して食べていたんです。それはぜいたくせずに、自然の恵みをいただくということでもあります。だから元気になれると思うんですよ。奄美群島の徳之島などは特に長寿で知られていますね」。店名の由来は奄美のシマ唄(民謡)『朝花節(あさばなぶし)』の一節『今日ぬほこらしや いつもよりも勝り いつも今日のごとに あらちたぼれ』(今日の喜びはいつもよりもすばらしい。いつも今日のようでありますように)から。前島さんは日々奄美の自然に感謝しながら訪れる方々をもてなしている。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

具材

フル、キャベツ、ニンジン、自家製の豚の塩漬け、厚揚げが使われる。フルは4cmほどの長さに切り、根元の部分と緑の部分を分ける

味付け

醤油ベースに島ザラメなどを加えた『フルイキ』だけに使う特製タレ。料理が焼酎によく合う甘めのタレだ

作り方

まず豚の塩漬けを炒め、フル以外の材料を炒める。フルの根元を先に、緑の部分を後に入れて炒め、特製タレで味付けする

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居酒屋 誇羅司屋(いざかや ほこらしや) 伝統的な郷土料理と創作島料理

島の新鮮な魚介や野菜を使った奄美の郷土料理や、伝統的な味に一工夫加えた創作料理を楽しめる居酒屋。奄美の味を一通り食べられる『奄美満喫コース』は一人でもOKだ。11月末から3月くらいの期間限定で『今日のおすすめ』メニューに登場する『フルイキ』は、フル、自家製の豚の塩漬け、野菜、厚揚げを、醤油をベースにした甘めの特製タレで炒める。

『フルイキ』858円
『フルの塩漬け』330円
刻んだフル入りの『手作り羽ギョーザ』638円
木造で古民家風の店内。カウンター席もあるので1人でも利用しやすい
奄美の中心街にあり、多くの県外客でもにぎわう

居酒屋 誇羅司屋(いざかや ほこらしや)

住所 奄美市名瀬入舟町13-6
電話 0997-52-1158
営業 17:00〜22:30
休み 日曜(祝日の時は営業で翌日休み)
部屋数 120席
カード
駐車場 なし
URL https://www.hokorashiya-amami.com
※記載した内容は2020年1月29日現在のものです。
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