九州の味とともに 冬

フルイキ

鹿児島 フルイキ

奄美の冬に欠かせない
ニンニクが香る炒め物

奄美大島の言葉で“フル”は“ニンニクの葉”、“イキ”は“炒める”を意味する。『フルイキ』はフルを使った炒め物。奄美大島では『フルイキ』と呼ぶことが多いが、沖永良部島(おきのえらぶじま)など、同じ料理を『ヒルアギ』と呼ぶエリアもある。
フル以外の具材は豚肉や豚肉の塩漬け(かつては保存食として作られていた)、ニンジンやキャベツといった野菜、厚揚げやつけあげ(さつま揚げのこと。『つきあげ』『ちきあぎ』と呼ばれることも多い)など。具材を炒め、調味料を加えてさらに炒めればできあがり。味付けには砂糖と醤油を加えたり、味噌を加えたりすることが多い。フルは11月終わりから3月くらいまでが旬の時期なので、『フルイキ』は冬の奄美でよく食べられている料理。寒い冬を元気に過ごすためにも欠かせない。鮮やかな緑色をしたフルの見た目はニラに似ているが、香りはニンニクそのもので、強い香りと濃厚な味わいに焼酎がすすむ。『フルイキ』以外にも、味噌汁に入れたり、塩漬けにしたり、煮物に加えたりと様々な食べ方がある。
フルは自家菜園などで栽培されることも多く、古くからよく家庭で使われてきた。『フルイキ』は家ごとに具材も味付けも異なる代表的な奄美の家庭料理だ。

フルについて

奄美伝統野菜研究会・沖野テル子さんの畑(奄美市西仲勝・あまみしにしなかがち)を訪ね、フルのお話をうかがった。

沖野さん
フル畑を案内してくれる沖野さん
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●伝統野菜としてのフル
「奄美の伝統的なフルは『シダレブル』と呼ばれています。葉が緑々としていて、ピンとまっすぐ立っているのは『タチフル』です。葉が黄緑っぽくしなだれているように見えているのが『シダレブル』です。笠利(カサリ)地区あたりで『ダレブル』、戸口地区の人が『ナエブル』とも言っているのを聞いたことがありますね。
現在は『タチフル』も、伝統的な『シダレフル』も島で栽培しているフルは島フルと呼んでいます。『シダレフル』の方が少なくとても貴重な存在です」。

伝統的なフルが育つ畑
伝統的なフルが育つ畑

●フルの栽培
「フルはタネ(いわゆる“ニンニクの一片”)をとるためにすべてを収穫せず、一部はそのまま残しておきます。(球の部分の)表面が赤くなってきたら収穫の時期です。天気の良い日に収穫します。収穫が遅れるとタネ株が割れたり、芽が出てきたりします。その加減がちょっと難しいかな。掘り起こしたタネ株は風通しの良い軒先に吊るしておきます。9月頃に植え、11月末くらいから葉を収穫していきます。寒さが増してくると香りが強くなり、風味が濃厚になります。奄美には家庭菜園を意味する『アタリ』という言葉があります。フルを『アタリ』で育て、料理することは昔から続いていることですね」。

伝統的なフルのタネ
伝統的なフルのタネ

●フルの料理法
「『フルイキ』は子どものころから食べていますし、油ぞうめんに入れたり、卵焼きに入れたりもします。ツランコ(豚の顔の皮)をゆでて、味噌漬けにしたものとフルを炒めると香りも出て美味しいですよね。いろいろな料理にフルを入れると冬の奄美らしい味になりますね」。

●フルとヒル
「このあたりではフルと呼んでいますが、沖永良部島などではヒルと呼ぶところもあるんです。『フルイキ』も『ヒルアギ』と呼ばれていたりもしますね。古い言葉では、ニンニクのことはヒルと呼ぶようです」。

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「フルイキ」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
具材

フル以外に、豚肉や豚肉の塩漬け、つけあげや厚揚げ、キャベツやニンジンなどの野菜などが使われる。家庭ごとで変わる

味付け

醤油ベースに砂糖を加えた甘辛い味や味噌味にすることが多い。こちらも各家庭で様々な味付けがある

作り方

まず肉類を炒め、フル以外の具材を炒める。最後にフルを入れて調味料を加え、ほどよく炒めたらできあがりだ

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