九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

食材

夏は石鯛、冬はブリなど、旬の魚介類が中心で、サザエ、ヒオウギ貝、イカなども。野菜類では特産の『対馬しいたけ』がよく使われる

焼き方

しっかりと熱された石英斑岩の上で食材を焼く。食材を焼き過ぎないようにすることが美味しく食べるコツ

タレ

醤油ベースのタレが基本。焼肉のタレのように濃くはなく、魚介類の味を引き立てるようにコクはあるがサッパリしたものが多い

語り 対馬グランドホテル レストラン漁火 福地義政の「石焼」

福地義政さん

対馬唯一の温泉宿泊施設『対馬グランドホテル』は海を望むすばらしいロケーションに建つ。昼間は青い海と水平線が、夏の夜は漁火(いさりび)が見えることからも人気のホテルだ。併設されている『レストラン漁火』からも漁火を見ることができ、海の景色を見ながら、対馬の海の幸・山の幸を使った季節を感じられる料理を食べられる。

料理長・福地義政さんに、まず『石焼』に使う石についてお話をうかがった。案内されたのは厨房の裏側。そこには平たい石がいくつも置かれている。

厨房の裏に置かれた石のストック

「『石焼』に使う石は石英斑岩という特別な石です。消耗品でもありますし、ある程度の数が必要ですから、台風の後で潮が引いた時など、年に2回ほどスタッフ総出で海岸に拾いに行くんですよ。対馬では、山にも石英斑岩があるのですが、『石焼』に使うには海岸に打ち上げられる石のほうがいいようです。私たちは石を削ったりせずに、自然の形のままの石を使いますから、形のいいもの、適当な大きさのものを探します。重たいですしなかなか大変です(笑)。見れば大体は石英斑岩だとわかるのですが、使う前には必ず試し焼きを行ないます。炭火で3日ほど焼いてみますが、割れたりヒビが入ったりする石を使うことはできません」。

無事に試し焼きをパスした石が『石焼』に使われるのだ。

厨房で『石焼』の準備について教えていただいた。
「石は、2時間ぐらいガスにのせて石の色が変わるくらいしっかりと焼きます。遠赤外線が出ますから、離れていても暑いですよ。石は多い時は一度に20枚ほど焼きますので、厨房の中は本当にとても暑くなります(笑)」。

石を焼くかたわら、素材の準備も行なわれる。
「定番の素材はカンパチやヒラスなどの青魚や、イカ、タイなどですね。その日に仕入れた新鮮な魚介を使います。具材をあまり厚く切ると熱が入りにくくなってしまうし、薄過ぎると焦げやすくなってしまいます。
いい塩梅(あんばい)に切らないといけないですね」。

素材はほどよい大きさに切る

秋から春にかけては原木シイタケである『対馬しいたけ』のシーズンです。いい物を仕入れることができた時だけお出ししています」。

焼けた石と素材は部屋に運ばれる。熱く焼けた石はガスコンロにのせられ、石を熱しながら素材を焼いていく。
「しいたけとヒオウギ貝だけはしっかり焼いて食べてください。魚などは生でも食べられるものなので、しゃぶしゃぶのようにしてさっと両面を焼いて食べていただいてもいいですし、しっかり焼いて食べていただいても美味しいですよ」。

素材の両面をほどよく焼く

「醤油ベースにタマネギやニンジンなどの野菜をすりおろしたものを合わせた、ちょっと甘めの『石焼』専用の特製タレでどうぞ」。

特製タレにつけて食べる

石の上に具材を置くとジュッといういい音と香りが漂う。特製タレが引き出す具材の旨味とともにふっくらと焼き上がった食感が楽しめる。
「『石焼』は漁師料理、素材の味をそのまま伝える料理ですね。それができるのは対馬の魚介類がとても美味しいからだと思います。『石焼』も含め、対馬で魚介三昧していただきたいですね。関東の方などがいらっしゃって対馬の魚介を食べられると、新鮮で感動されていますよ。対馬には派手な物は何もありませんが、自然が豊かで魚介類は最高ですね(笑)。対馬の西側で獲れる『西アナゴ』は美味しくて、特に刺身(5月末〜8月に食べられる)は絶品ですから、ぜひ食べていただきたい魚です!!」。

『石焼』に使われた石は、冷めるのを待って一つずつタワシできれいに磨き上げる。そうやって大事に扱われる石から、『石焼』ならではの美味しさが生まれるのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

食材

定番の具材はカンパチやヒラスなどの青魚やイカ、タイなどで、旬の魚介を使う。秋から春にかけては『対馬しいたけ』が入ることも

焼き方

2時間ほど焼いた石で素材を焼く。しゃぶしゃぶのようにして両面を軽く焼いてもいいし、表面をしっかり焼いて食べるのもいい

タレ

醤油ベースにタマネギやニンジンなどの野菜をすりおろしたものを合わせた特製タレ。ちょっと甘めの『石焼』専用のタレだ

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対馬グランドホテル レストラン漁火(いさりび)美しい海と対馬の海の幸、山の幸

海を望む対馬唯一の温泉宿泊施設『対馬グランドホテル』併設のレストラン。夏の夜は漁火を見ながら対馬の海の幸・山の幸を使った季節を感じられる料理を食べられる。『石焼』に使う石は、料理長・福地義政さんをはじめスタッフ総出で海岸へ探しに行くとのこと。少し甘めの特製タレがふっくらと焼き上がった魚介類や野菜などの旨味を引き立てる。

『石焼』1人前3,500円〜(写真は2人前)。天ぷら、刺身なども付く『石焼懐石』5,000円〜 ※すべて税別
『西アナゴの寿司』1,000円(税別)
『刺身の盛合せ』1,500円(税別)
『地鷄のろくべえ』800円(税別)
『対州そばのざるそば』500円(税別)
『サザエのつぼ焼き』400円〜(税別)。値段は大きさで異なる

対馬グランドホテル レストラン漁火(いさりび)

住所 長崎県対馬市美津島町鶏知甲41-10
電話 0920-54-9100
営業 11:00〜OS21:30
休み なし
50席
カード
駐車場 あり
URL http://www.tsushima-grandhotel.jp/
※記載した内容は2015年7月21日現在のものです。
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