那覇市中心街から車で30分ほどの街・北谷（ちゃたん）。この10年ほど若い世代も多く集まるにぎやかなエリアとなっている。その一角にお店を構える『タコライスcafe　きじむなぁ　デポアイランド店』におじゃまして、店長・齊藤尚一（さいとう しょういち）さんにお話をうかがった。『タコライスcafe　きじむなぁ』はこちらの店も含め、全4店舗で展開しているタコライス専門店だ。

「1号店は恩納村（おんなそん）なんです。オーナーがダイバーでダイビングショップをやっていたのですが、2003年に、その2階でお客さん向けに居酒屋も始めたんです。そのメニューの中でもオリジナルタコライスがとても人気になりまして、タコライスに特化したお店を始めることになったのです。この店は2010年に開店しました」。

自慢のタコライスにはいくつもの工夫がなされている。
「タコミートは挽肉と数十種類のスパイスなどで作り上げています。肉の弾力を感じられるように、通常の挽肉よりやや粗めに挽いていますね。タコミートはアメリカナイズされたワイルドな味わいのものも多いのですが、僕たちが作っているのは和風テイストも加えた日本人好みの味わいですね。野菜はレタスとキャベツをミックスしていますので、シャキシャキした歯応えを楽しんでいただけると思います。レタスもキャベツも値段がかなり上下しますが、いつもたっぷりのせてますよ（笑）」。タコミートは甘口、中辛、カレー味から選ぶことができる（挽肉を使わないチリビーンズもある）。

注文が入ると手際よくタコライスが作られるが、素材を順番にのせるだけではなく、ここにも工夫が加えられている。

かために炊いたごはんをのせ、タコミートをのせ、チーズをのせたらバーナーでチーズを軽く焼くのだ。

「ひと手間ですが、これで香ばしさが出ますから」。野菜をのせ、特製シーザーソースをかけ、トマトを並べ、スパイシーなコーンチップを砕いたものをふりかけてできあがり。

特製サルサソースとともにテーブルに運ばれる。

いくつもの食感と味わいが重なるぜいたくなワンプレートだ。特製サルサソースにもピリ辛感があるが、より刺激を求める方のために、テーブルにはタバスコ、ハバネロを使ったソース、パウダー状のオリジナルスパイスが置かれている。順番に試してみるのも楽しい。トッピングも充実している。

「全部で13種類あるのでタコライスとの組み合わせを楽しんでいただきたいですね。女性にはアボカド、海外の方には照り焼きチキンが人気ですよ。野菜たっぷりですので、サラダ感覚で召し上がっていただけます」。

『タコライスcafe　きじむなぁ』では『タコライス』とともにタコライスの上にふわふわのオムレツをのせた『オムタコ』も看板メニューだ。

「僕が卵好きなので生まれたメニューですね（笑）。開店当初からメニューにのせています。いい感じのふわふわ感を出すのはけっこう難しいんですよ!!」。

作り方は、ごはんをのせ、タコミートをのせ、チーズをのせてバーナーで焼くところまではタコライスと同じ。レタス&キャベツとトマトをのせ、その上にオムレツをのせて、特製チリソースと特製シーザーソースをかけるとできあがりだ。卵のふわふわ感と甘味も楽しめるアレンジされたタコライスだ。どちらも美味なタコライスとオムタコ。おすすめの食べ方を齊藤さんから教えていただいた。

「自由に食べていただいていいのですが、できれば混ぜずに、スプーンで上からざくっとすくって食べていただきたいですね。一口ごとに味の変化を楽しんでいただけると思います」。

最後にタコライスの魅力について語っていただいた。
「タコライスは沖縄で生まれた料理。沖縄のチャンプルー文化を代表する料理の1つだと思います。店ごとに味は違いますし、アレンジもいろいろでき、これからまだまだ広がっていきそうです。やがては、カレーと同じように日本中に広まる可能性を秘めているのではないでしょうか。僕たちのタコライスやオムタコもたくさんの方に食べていただけるとうれしいですね。僕もまかないで食べてますし、僕の身体のほとんどはタコライスからできていると思いますよ（笑）」。