飴源 田中豊司の「つがに飯」 | 九州の味とともに 秋 | 霧島酒造株式会社
しめておとなしくした後、お腹の皮のような部分、背中の甲羅、エラの部分などを取り除く。しめ方にもいろいろあるようだ。
基本的に塩、醤油など最低限の調味料しか使わない。つがにそのものの味わいを引き出し、ごはんに染み込ませるためだ。
つがにを生の状態から炊くことが多い。一度外した甲羅の部分にはミソもついているため、一緒に入れて炊く。
創業天保9年(1838年)。初代源吉さんが川魚料理と水飴を扱っており、通称『飴屋の源さん』と呼ばれていたことから、屋号は『飴源』となったのだそう。
お話をうかがったのは五代目・田中豊司さん。お父様と二人で江戸時代から代々伝わる味わいを守っている。
「前を流れる玉島川は、『鮎』という字の由来につながる神功皇后の伝説があったり、万葉集にその名が登場していたりと、とても歴史ある川なんです。川魚の宝庫でもありますね」。
白魚、鮎、鯉、ウナギ、つがになど、様々な“川の幸”をいただくことができる。
「玉島川は川底が砂地で水温が低いという特徴があります。魚はあまり大きくならずに身がしまって美味しいですね。つがにも他の川のものと色も違うし、やっぱり美味しいと思います」。
さっそく、厨房でつがに飯の作り方を見せていただいた。
「まず、へこ(お腹の皮のような部分)を外し、甲羅を外し、口のエラのところを外します。そして、足の先端の、ツメの部分を落とします。これは、落としたところから味が染み込むようにです。調味料を入れつがにを入れたらよく混ぜます。味付けは昔ながらの飴源の秘伝の味付けです。それがごはんの一粒一粒に染み込んでいくんです」。
できあがったつがに料理は、美しい器でいただく。こちらで使う器の主なものは、唐津焼13代中里太郎右衛門窯のもの。器の美、料理の美味が呼応する。つがには甘く、濃い味わいだ。
「川のかには脂が多いしコクがあります。つがにもそうですね。秋の初めのつがには、身の入り方は少ないですが甘いんです。冬に向けては肉質も厚くなってきますし、みそもたっぷりと入ってきます。季節によって、時期によって、脂ののり方も味も異なり、どちらも美味です。その味を知っている方は秋に1度、冬にもう1度というように、つがにを食べに何度もおみえになりますよ。うちには生簀があるのでほぼ一年中つがに料理をお出しすることができます。カニは水が動かないと弱るので、それをうまく再現させなければならないのが難しいところですね。エサは、カボチャ、サツマイモ、生米などを与えています」。
田中さんが個性的なつがにの美味しさに気づいたのは大人になってからだったという。
「お酒を飲むようになってからですね(笑)。一度この街から離れていましたが、帰ってきて食べて、『旨い!!』と思いました。小さい頃はよく捕まえて遊んでましたよ。せまいとこが好きみたいで、石と石の間なんかにいるんですよね。そこにスルメをつっこむと、ハサミでつかんでくるので引っ張りだせるんです!! その頃は捕まえたら親父に渡して料理してもらってましたね」。
川魚とともに『飴源』が大切にしているのが“摘草料理”。
「朝摘みの新鮮な野菜や摘草を使った料理ということです。川魚や自家園で作った京野菜の素材をいかした料理を作り続けますので、景色、歴史、季節を感じながらゆっくり召し上がっていただきたいですね」。
部屋から見える玉島川は、山からきれいな水を運ぶ。今も昔も変わらず、川魚をはじめとした美味しい素材の宝庫なのだ。
お腹の皮のような部分を外し、甲羅を外し、エラのところを外す
調味料は飴源秘伝のもの。かに本来の味をじゃませず、引き立てる味わいだ
かにの旨味がよく出て、ごはんの一粒一粒に染み込むようにじっくりと炊く
白魚、鮎、ヤマメ、つがに他を使った川魚料理や、新鮮な摘み草料理など、四季折々の川の幸、山の幸を江戸時代から続く技で伝えている。主な器は、唐津焼13代中里太郎右衛門窯の器で、料理をより鮮やかにする。店名の由来は初代・源吉さんが川魚と水飴を扱っていたから。その流れを組む鮎の飴焼きも名物だ。
住所 | 唐津市浜玉町五反田1058-2 |
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電話 | 0955-56-6926 |
営業 | 11:00~21:00 |
休み | 第1、第3、第5火曜 |
席 | 60席 |
カード | 不可 |
駐車場 | 20台 |
URL | http://www5.ocn.ne.jp/~amegen/ |