法は変わる。それでも、造り手の願いはいつも同じだった。

移りゆくアルコール市場の在り方。
そのとき霧島酒造は。

2026年10月、酒税法の改正により、お酒の税率が変わる。
とはいえ、普段お酒を買う際、支払っている税金がいくらなのかを意識している人はどれほどいるだろうか。「値段相応にうまけりゃそれでいい」という人も多いのではないか。
ただ今回の改正は、値段への影響だけでなく、各メーカーがより味わいを追求するきっかけとなる可能性を秘めた内容となっている。

酒税法において、酒類は「アルコール分1度以上の飲料」と定義されており、「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸留酒類」「混成酒類」の4つの種類に分類される。また、製造方法や原料、成分(エキス分など)に基づき、さらに細かく定義された17の品目があり、それらが私たちの普段目にするラベルに記載されているものだ。

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発泡性酒類 ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(チューハイ等)
醸造酒類 清酒(日本酒)、果実酒(ワイン) 、その他の醸造酒
蒸留酒類 連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎(本格焼酎)、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類 合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

なかでも、今回の改正で転換点を迎えるのが「発泡性酒類」。ビール、発泡酒、そして、いわゆる新ジャンルの税率が統一化されるのである。
そもそも、発泡酒や新ジャンルは、税率の高いビールに対し、「近い味わいのものを少しでも安い価格で」というメーカーの努力により発展してきたジャンル。しかし10月以降、ビールとの税率差がなくなることで、価格を理由に発泡酒や新ジャンルを選ぶ必要がなくなるのだ。
実際、これまで新ジャンルとして販売していたブランドを、『ビール』へ品目変更するメーカーもみられる。今後は、より純粋に、よりシビアに「中身の価値」で選ばれる時代がくるだろう。『KIRISHIMA BEER』としてビールと発泡酒を販売している霧島酒造も、この改正は転機となりそうだ。
『KIRISHIMA BEER』についてはこちら

お酒に関する税率や法律が変わることは、これまでの歴史のなかで幾度とあり、焼酎や酒類を取り巻く環境も変化してきた。
霧島酒造二代目社長である江夏順吉が「本格焼酎」という呼称を提唱したのも、1953年の税制改正がきっかけだ。
当時、焼酎の蒸留法の違いに応じて、連続式蒸留焼酎は「甲類」、単式蒸留焼酎は「乙類」という言葉に分類された。そこに優劣はなかったものの、順吉は、こだわりを持って造り続けた単式蒸留焼酎を、「甲乙」という言葉の意味だけで劣っているように見られることに強く危機感を覚えた。
「“乙類”に代わり、伝統と格式を感じる“本格焼酎”と表示できないか」
順吉は国や業界関係者に働きかけ、5年の時を経て、1962年に一定の条件を満たす焼酎に対して、「本格焼酎」という呼称が大蔵省令で認められた。あのとき「本格焼酎」という言葉が生まれていなければ、焼酎市場は今と違った形をしているだろう。
「本格焼酎」の歴史についてはこちら

霧島酒造二代目社長 江夏順吉

一方で、ジャンルに囚われないことで自由な進化をとげる商品もある。
『金霧島』『黒宝(コクホウ)霧島』『Ax(エーエックス)霧島』『〈玉〉(ギョク)金霧島』の健麗酒(ケンレイシュ)シリーズもそのひとつ。
健麗酒シリーズは「美味しくお酒を飲みながら、体のことも気遣いたい」というお客様向けの商品だ。『金霧島』には冬虫夏草、『黒宝霧島』にはチャーガ、『Ax霧島』にはアスタキサンチン、『〈玉〉金霧島』にはツバメの巣など6つの希少な自然素材を、原料に使用している。
いずれもベースは本格焼酎だが、それらの素材は酒税法上、本格焼酎の原料として認められていないため、あえて「本格焼酎」という枠には収まらず、「スピリッツ」として世に送り出している。

また、リニューアルを機に「本格焼酎」から「スピリッツ」へと生まれ変わった商品もある。それが、『霧島MELT』シリーズだ。
『黒霧島』『赤霧島』『茜霧島』の3つの原酒をそれぞれ“樽熟成”させることにより、本格焼酎の新たな美味しさを追求したシリーズである。原酒の酒質に合わせ樽の種類を変え、熟成期間、ブレンドなどを細かく調整し、本格焼酎に樽熟成ならではの風味や、美しい琥珀色の輝きを与えた。
本格焼酎として届けたいというこだわりから、リニューアル前は一度樽で色付けした焼酎を再び脱色し、本格焼酎としての基準に合わせていたが、味わいだけでなくお酒の色合いもお客様に楽しんでいただきたいという思いから、リニューアル後はスピリッツへ変更した。誇りは中身に宿るのだ。
『霧島MELT』のこだわりについてはこちら

時代とともに税率や法律は変わる。しかし、いつの時代も変わらないのは「おいしいお酒を届けたい」と願う、造り手の情熱だ。
時代の変化に影響を受けながらも、時には抗い、霧島酒造はこれからも人々の生活を豊かにするお酒を造り続けていく。

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