本格焼酎をつくる霧島酒造の製造方法

1. 芋の選別

厳選された黄金千貫のみ使用。

霧島酒造では、でんぷん質が豊富で、本格芋焼酎に適した「黄金千貫(こがねせんがん)」を使用しています。1日に仕込む黄金千貫は、1工場あたり85t。傷んだ芋や病気の芋を数個でも使うと、出来上がった焼酎に雑味を与えてしまうため、南九州の生産農家が栽培した黄金千貫の中から、選別・検査をクリアしたものだけを仕入れています。

南九州のシラス台地が育む黄金千貫。

手作業による丁寧な選別作業。

選別・検査をクリアした黄金千貫は、丁寧に洗浄され、人の手によって適当な大きさにカットします。
ここでは、「芋蒸し工程」で、蒸しムラがでないよう、均一の大きさにそろえると同時に、その際に見つかる細かい傷も見逃さず、ひとつひとつ手作業で取り除きます。

原料選別作業

2. 製麹・一次仕込み

焼酎の品質を左右する麹。

「製麹(せいきく)」は、蒸米に種麹を散布し、約2日間かけて生育させる工程です。
酒質を左右し、焼酎づくりでもっとも重要とされる「製麹」において、霧島酒造では、ひとつひとつの作業に、創業以来研究を重ねた技術を注ぎ込んでいます。

宮崎県都城市で造る霧島酒造の麹

「自動製麹機」で約2日間かけて麹菌を育成する。

酵母を生育する一次仕込み。

「一次仕込み」は、麹と霧島裂罅水を原料とし、これに純粋培養した酵母菌を添加して酵母を大量に培養することと、二次仕込みに必要な酵素や、もろみの腐敗を防ぐクエン酸の溶出を目的としています。厳しい温度管理のもと5日間で、酒の母と書いて「酒母(しゅぼ)」ともいわれる一次もろみができあがります。

タンクの中でもろみが発酵し、5日かけて酵母を培養する。
仕込みから2日目のもろみ。
発酵が進んだ4日目のもろみ。

焼酎づくりに最適な酵母菌を使用

酵母菌は、自然界に何万という種類があるといわれています。霧島酒造は、長い歴史の中で多くの酵母と出会いました。その中から焼酎づくりに適した酵母を選りすぐるために微生物工学を応用し、研究を重ねています。

3. 芋蒸し・二次仕込み

連続芋蒸機による芋蒸し。

「芋蒸し」では、「黄金千貫(こがねせんがん)」を「連続芋蒸機」により、蒸してから冷ます作業を一連の流れで行います。
理想的な蒸し上げ温度で蒸した後、ベルトコンベアでゆっくりと運びながら、芋を冷まします。

芯温91℃に蒸してから、ベルトコンベアで冷ます「連続芋蒸機」。

一次もろみに蒸した芋を混ぜる二次仕込み。

酒母を二次もろみタンクに移し、蒸したさつまいもと霧島裂罅水を加えます。この工程では、盛んに酒母がアルコールを造り出し、その活動で生じた二酸化炭素がもろみの表面で泡をたてます。
もろみの中では、でんぷんの糖化とアルコール発酵が同時に起こるため、この発酵は並行複発酵と言われています。
8日間ほど経過すると、アルコールと芋のほのかな香りを漂わせた二次もろみができあがります。

仕込んだ日ごとにタンクを分けて、約8日間熟成させる。
二次もろみ。

4. 蒸留

深い味わいとアルコールを取り出す蒸留。

二次仕込みでできあがったもろみを蒸留機に移し、蒸気を吹き込みながら攪拌(かくはん)すると、アルコールと水が蒸発します。これを冷やして集めた液体が焼酎の原酒です。
蒸留の初期に留出してくるアルコールは高濃度ですが、最終的にアルコール度数約37度の原酒ができあがります。このなかには数百種の微量成分が含まれ、これらの相互作用によって「いも焼酎」の深い味わいが醸し出されます。

※1 「蒸留」の初期段階に留出される、アルコール濃度の高い原酒を「初垂(はなたれ)」と呼び、「蒸留」の終了段階に留出される、アルコール濃度の低い原酒を「末垂(すえだれ)」と呼びます。

2代目社長 江夏順吉が考案した、江夏式横型蒸留機「E-II型」。

霧島酒造独自の江夏式横型蒸留機「E-Ⅱ型」

霧島酒造では一般的に使用されている縦型蒸留機に加え、2代目社長 江夏順吉が考案した、江夏式横型蒸留機「E-Ⅱ型」を使用しています。
縦型と横型の蒸留機を使用することで、焼酎の味わいに幅を持たせることができます。
焼酎づくりにこだわり続けた順吉によって、昭和53年に開発された江夏式横型蒸留機「E-Ⅱ型」は、今も霧島酒造の本格焼酎の味わいを守り続けているのです。

5. 貯蔵・熟成

「あまみ」、「うまみ」、「まるみ」を生み出す貯蔵・熟成。

「蒸留」した本格焼酎の原酒は、ガス抜きを行い、余分な油分を取り除く冷却濾過をした後、貯蔵タンクに入れて熟成させます。ゆっくりと時間をかけて、霧島酒造の本格焼酎ならではの「あまみ」、「うまみ」、「まるみ」を生み出していきます。

貯蔵には主にステンレス製のタンクを使用します。

ブレンダーが「貯蔵・熟成」の期間を管理

「貯蔵・熟成」によって、原酒の味わいは常に変化していきます。そのため、貯蔵タンクで熟成させる原酒をブレンダーが日々利き酒し、「貯蔵・熟成」の期間を管理しています。

6. ブレンド

緻密な分析を基に原酒を調合するブレンド。

「ブレンド」は、貯蔵タンクで熟成させた原酒を組み合わせ、本格焼酎の味を仕上げる工程です。
そこで欠かせないのが、霧島酒造の本格焼酎を知り尽くした熟練のブレンダーです。
ブレンダーは、原酒を貯蔵タンクで熟成させる期間を管理し、ブレンドする原酒の割合を決定します。さまざまな角度から原酒の状態を見極め、香りと味わいを分析し、品質を守る重要な役割を担っています。

緻密な分析のもと、何度もブレンドを繰り返す。

1/1000の味の違いを見抜くブレンド技術

「焼酎Aが入ったグラスに、タイプの異なる焼酎Bを一滴だけ入れたとして、その1/1000の味の違いが分からなければ失格だよ」。この言葉は、日本有数のブレンダーとして高い評価を受けていた、2代目社長 江夏順吉の口癖です。
ブレンダーとして本格焼酎にこだわり、常に納得のいく味わいを研究し続けた順吉は、「あまみ」、「うまみ」、「まるみ」という霧島酒造独自の、おいしい本格焼酎の基準を定めました。
この3つの基準を判断する技術は、今日の霧島酒造を支えるブレンダーに脈々と受け継がれ、本格焼酎をつくる糧となっています。

明敏な感覚でブレンドにこだわりを持った2代目社長 江夏順吉。

7. 瓶・パック詰め

最後の工程、瓶パック詰め。

ブレンド・加水した焼酎を瓶詰めします。一升瓶や五合瓶、紙パックなど、様々な大きさや形の容器に、自動制御の充填機で焼酎を充填していきます。

瓶に光りを当てて、細部の汚れや傷を検査する「検瓶」。
キャップやラベルも詰めラインで装着します。