研究概要

本格芋焼酎の研究対象は、原料のさつまいもや米、麹菌による麹造り、酵母による発酵、蒸留、熟成と多岐にわたり、これらが整っておいしい焼酎ができあがります。霧島酒造が100年をかけて築き上げた伝統に、革新の発想・技術を組み込んだ新たな酒質を開発し、やすらぎのひとときをお届けできればと思います。

また、焼酎や焼酎製造時に生成する副産物、健康をコンセプトとした「健麗酒」の機能性を研究し、健康で豊かな生活に寄与したいと考えます。

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醸造原料

焼酎造りの原料となるさつまいもに秘められた価値を研究し、新しい酒質開発に取り組んでいます。

さつまいもによる商品開発

芋焼酎の製造において、さつまいもは米の約5倍量使用しており、さつまいもの品種の違いが、芋焼酎の酒質を大きく左右しています。より良い焼酎造りのために、さつまいもの栽培特性や焼酎の官能評価、香気成分の分析を行い、焼酎に適したさつまいもの品種を探究しています。

さつまいもの栽培方法やほ場環境の研究

原料を安定的に確保するために、さつまいもの栽培方法やほ場環境の測定など、関連部署で協力し、国や県の研究機関、大学、生産農家の方と研究を進めています。

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醸造技術

発酵・醸造という日本の伝統的な技術に最先端の科学を導入することで、さらにおいしい焼酎の開発に取り組んでいます。

醸造微生物の研究

嗜好の多様化が進み、様々な味わいの焼酎が求められています。麹菌や酵母菌について深く追求し、さらに新しい技術を応用することで、世の中のニーズに合った商品開発に取り組んでいます。

造りの技術開発

麹菌や酵母菌が十分に働くことができるよう、製麹や発酵の条件を検討し、更なる品質向上を目指しています。新しい菌株や原料を使用する際には、細かい条件設定を行い、商品の特長を最大限に引き出せるよう取り組んでいます。

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醸造機能性

お客様のニーズに応じて、おいしく機能性のある商品開発に取り組んでいます。

機能性の探究

食品の機能として、これまでは栄養や嗜好性が求められていましたが、最近ではそれらに加えて健康機能性が強く求められるようになりました。そこで、高機能性素材と焼酎を融合させた「健麗酒」の開発に取り組んでいます。

健麗酒とは?

副産物の有効利用

焼酎製造時に発生する副産物には、様々な成分が含まれています。これまでその副産物はサーマルリサイクル(※)していましたが、食品としての有効利用を図るため、それらの機能性成分や生理活性メカニズムを解明し、機能性素材としての利用法の開発に取り組んでいます。

  • 廃棄物を単に焼却処理するだけでなく、焼却の際に発生するエネルギーを回収・利用すること。

香味に関与する成分の解明

焼酎には多くの成分が含まれていますが、香味に寄与するすべての成分は未だ解明されていません。そのため、焼酎の甘さや味わいをコントロールできる醸造技術の確立を目指し、各原料や焼酎の網羅的な分析と官能評価を組み合わせながら香味に寄与する成分の解明に取り組んでいます。