九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

具材

魚介類は、アジ、サバなどの青魚を使うことが多いが、地域によって異なる。野菜は大根、ニンジンなどの他、キュウリ、ネギなども

酢味噌

味噌、砂糖、酢などで作るが、家庭(作り手)によって酸味が強いもの、甘味が強いものなど様々。すりゴマが加わる場合も多い

作り方

魚介類は刺身か酢でしめたもの。野菜類は塩をしてしっとりとさせる。食べる直前に和えたり、和えて味をなじませたりと和え方は様々だ

語り 佐賀県食生活改善推進協議会 中尾良子の「かけ和え」

中尾良子さん

『食生活改善推進協議会』の主な目的は、食生活を改善し生活習慣病を予防することや、郷土料理などを通して親子の食育を行なうことなどだ。『佐賀県食生活改善推進協議会』会長の中尾良子さんを訪ねた。

ニンジンと大根は鉛筆をとぐように手作業で切る

「小さい頃から食いしん坊で、お料理するのが大好きだったんです。それが高じてか、会長さんになってしまいました(笑)」。

やさしい笑顔の中尾さんは、子どもたちに郷土料理の作り方を教えに行ったりもするのだそうだ。『かけ和え』の作り方も丁寧に教えていただいた。
「大根が美味しい冬が『かけ和え』のシーズンですね。魚は、イワシやサバをよく使います。今日はイワシ。おろして切ったら、酢でしめておきます。ニンジンと大根は、包丁で薄くそぎ切りします。鉛筆をナイフでとぐようにしてね。『かけ和え』の野菜を切る時だけは、とぐように切るのがいいみたいですよ」。

切った大根とニンジンは、塩をして別々のボールにねかせておく。
「大根はニンジンと一緒にはしません。一緒にすると、大根の栄養素をニンジンが壊してしまうのだそうですよ」。

味噌と砂糖を混ぜ、しめたイワシの汁を加えて混ぜる

続いて酢味噌の作り方。ゴマをすり、合わせ味噌と砂糖を入れて混ぜる。その後、酢を入れる。
「イワシをしめるのに使った酢を入れます。イワシの旨味も溶け出していますからね」。

味噌の準備ができたら、具材を酢味噌で和える。
「大根とニンジンの水気を絞りますが、味見して塩がききすぎていたら、水洗いしてから絞ります。布巾で絞ると水分が取れ過ぎるので両手でギュッとね(笑)。ただ、イカで作る時は大根をしっかり絞っといたほうがいいようですね。あとは一気に手で混ぜます」。

野菜の水分を適度に絞る

これで基本バージョンはできあがりだが、さらに一品、二品加えると、個性的な味わいになる。
「キュウリ、ネギを入れる人も多いですね。あと、薬味といいますかアクセント的には、ショウガ、柚子の皮、レモン、その他のかんきつ類、唐辛子などを入れても美味しいですよ。今日はショウガ、ネギ、柚子皮、唐辛子を入れてます。ちょっと入れるだけで、ずい分と味がかわりますね」。
『かけ和え』のバリエーションはいくらでもありそうだ。

混ぜた後は味見も

一口いただくと、柚子の香りが爽やか、味噌の風味の中に唐辛子の辛さもピリリ。各具材の食感と旨味は焼酎に合う。
「酒の肴にぴったりの味だから、男性のほうがよく食べるのかもしれません。父はお酒飲めなかったけど、主人が飲んべえなもので(笑)、私も本格的に『かけ和え』を作り始めました。酒飲みは『かけ和えの魚は、やっぱイワシやなからんとつまらん』とよく言ってますね。イワシの骨のコリコリ感がいいのかもしれませんね」。

できあがった『かけ和え』ゆずの皮の黄色もいいアクセント

栄養学的な勉強もしていく中で、中尾さんは、郷土料理について驚くことかよくあるのだそう。
「昔の人から伝わってきた料理というのは、調べてみると、とても栄養のバランスがいいんですよ。ありあわせのもので作っていたのだろうし不思議ですね。昔の人はわからんでやりよったはずなのに、よくできていて、ちゃんと理にかなったことをやっているんです。この素晴らしい郷土料理を若い人たちにも伝えていきたいですね。私も2010年に大病を患いましたが、長きにわたって食生活を気にしていたおかげか、治りは早かったんです。食事の効果はすぐには現れませんが、10年後、20年後に必ずつながりますよ」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

具材

イワシはおろして切ったら、酢でしめる。大根とニンジンは、鉛筆をナイフでとぐように薄くそぎ切りすることが美味しさの秘密

酢味噌

ごまをすり、合わせ味噌と砂糖を入れて混ぜる。その後、イワシをしめるのに使った、魚の旨味も溶け出した酢を入れて混ぜる

作り方

大根とニンジンの水気を適度に絞り、イワシを入れて酢味噌で和える。ショウガ、柚子の皮、レモン、唐辛子などを加えことも

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