九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

うに

壱岐で獲れる新鮮なうにを使う。5〜6月はムラサキウニ、6〜10月はより濃厚な味わいのアカウニが獲れる時期だ

タレ

各店、醤油ベースの特製のタレが添えられる。うにの甘みと旨味をより引き出すために作られた『生うに丼』専用だ

作り方・食べ方

丼にごはんをのせ、生うにを丁寧にのせて、刻み海苔やわさびを添える。特製タレを合わせて食べる

語り 旨処 味よし 代表・末永謙太郎の「生うに丼」

店主・末永謙太郎(すえながけんたろう)さん

メニューに並ぶのはうにやサザエといった魚介類、壱岐牛、地元の野菜など壱岐産の食材を使った料理の数々。現店主・末永謙太郎さんは壱岐の自然の恵みに感謝しながら、食材と向きあっている。「父親が始めたのは大衆食堂だったんですよ。地元の方にずっと人気のメニューは『カツ丼』ですね」。そして、島外から訪れる方々に人気なのが生うにを使った『生うに丼』。海士(あま)と呼ばれる男性の潜り手が食べていた『うにのぼっかけ飯』を、『生うに丼』として最初に提供を始めた店だと言われている。「元々『うにのぼっかけ丼』は漁師飯でした。海に行く漁師たちがごはんだけを持っていき、獲れたてのうにをのせて豪快に食べていたようです。それを『生うに丼』として先代が30年くらい前にアレンジして提供を始めたんです。当時、壱岐には『うにめし』と呼ぶ、うにの炊き込みごはんがあって、先代も『うにのかまめし』をやっていたのですが、『生うに丼』を出している店はなかったんです。『生うに丼』はすごく評判がよくて、すごい長い行列ができたんですよ。その後、『生うに丼』を出す店が増えました。特にここ10年くらいで壱岐の名物になってきましたね」。

『生うに丼』に使われるうには壱岐産の新鮮なうにだ。「壱岐には女性の海女(あま)と男性の海士(あま)がいます。うにはこの方たちが素潜りで獲ってくるんです。漁が解禁となる5月から潜りはじめます。港から近い場所でも潜っているので、初めて見る方は『何をやってるのかな?』と感じるかもしれませんね。うにがよく獲れのはGWから10月くらいまで。ですから、うちで『生うに丼』を提供しているのもその時期になります。ムラサキウニなどのうにを使っていますよ。自然のものですから台風が続くと獲れなかったりします。暖冬の後だと、うにが食べる海草が不作となる“磯焼け”が生じて、うにの数も減ってしまうようです。漁師さんたちがうにを割り、丁寧に出してくれた身を仕入れています」。

『生うに丼』を作っていただいた。丼にごはんを入れ、うにをのせ、刻み海苔を入れる。「うにはきれいな黄金色ですね。1つのうにの中には身が5コ入っていますから、この『生うに丼』一杯で、10コ以上のうにが使われていますね」。

丼にごはんを入れ、生うにを形良く盛り付ける

そして、熱々の特製タレをかけて提供するのが“味よし流”だ。「このタレは先代から伝わるものです。開店当初から人気のカツ丼のタレをベースにした割り下ですね。いりこ・カツオ節の出汁に醤油や砂糖を加えて作りますが、カツ丼のタレは少し甘みが強いので、それをベースにした『生うに丼』専用の割り下です」。

熱々の特製割り下を注ぐ

輝くうにがのった『生うに丼』。珍しいものでもあるし、少しずつ食べたくなるが末永さんが一番美味しい食べ方を教えてくれた。「一気にかき混ぜて、たまごかけごはんみたいにして食べていただけるといいですね。混ぜないと割り下が下にたまったままになってしまいますから。海鮮丼ではないので、ちびちびとではなく豪快にかきこむように食べていただくのが一番です。混ぜる勇気が必要ですね(笑)」。混ぜて食べると、うにの旨味と割り下がいい塩梅で混ざり合い、絶妙な丼飯となる。食べ始めると、確かにかきこみたくなる味わいだ。漁師たちも、『うにのぼっかけ丼』をきっと豪快に食べていたのだろう。添えられるワサビを合わせると、うにの甘みをひきたて、また違った味を楽しめる。

生うにが黄金色に輝く

「壱岐のうには美味しいでしょう?私も日本の他の場所でうにを食べたことがあります。どこのうにも美味しいですが、味の個性が違いますね。私が思うに海流が違うと、うにの味も変わるようです。壱岐のうには潮の流れが早い玄界灘に棲むうに。コクがあるような気がしますね。仕事しながら味見もしているんですが、いつも美味しいと思います(笑)」。期間限定の『生うに丼』、夏に壱岐を訪れたらぜひ食べたい一品だ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

うに

ムラサキウニなど壱岐産のうにを使う。よく獲れるGWから10月くらいまでのうにだけを使うため、『生うに丼』も期間限定だ

タレ

人気メニュー『カツ丼』のタレをベースにした特製割り下。いりこ・カツオ節でとった出汁に醤油や砂糖を加えて作る

作り方・食べ方

ごはんの上にうにと刻み海苔をのせ、熱々の特製割り下をかける。よくかき混ぜて食べるのがおすすめとのこと

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旨処 味よし 熱々の特製割り下をかける『生うに丼』

店主・末永謙太郎さんが作るのは、魚介類、壱岐牛、野菜など壱岐産の新鮮な食材を使った料理の数々。『生うに丼』は、開店当時から人気だったカツ丼のタレをベースにした熱々の特製割り下を生うにの上から注ぐ。よくかき混ぜて食べると、うにの旨味と割り下がいい塩梅で混ざり合う。豪快にかきこむようにして食べるのが一番美味しい食べ方だ。

『生うに丼と壱岐牛炙りの定食』3780円。小鉢の豆腐は壱岐ならではの固めに作られた“壱州豆腐”だ。『生うに丼』単品は2700円
創業当時から人気の『カツ丼』648円
豚ロース肉に特製和風ソースをからめて焼いた『味とん』756円
元々は定食屋としてスタートしたというお店は、気軽に楽しめる雰囲気
郷ノ浦町の中心部に建ち、すぐ近くには壱岐市役所がある

旨処 味よし

住所 壱岐市郷ノ浦町本村触519-11
電話 0920-47-0688
営業 11:00~OS22:30
休み 不定
30席
カード 不可
駐車場 あり
URL https://www.iki-ajiyoshi.com
※記載した内容は2019年8月26日現在のものです。
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