九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

麺

小麦粉、そば粉、デンプン、塩を手ごねした後、一晩ねかせる。注文が入ってから製麺機で押し出してすぐにゆでる。やや太めだ

スープ

昆布主体で、牛のもも肉も加えて弱火で1〜2時間ほど煮込んだ出汁がベース。塩少々、薄口醤油と濃口醤油を加えたスープだ

トッピング

自家製のキャベツキムチと、牛肉を煮込んで甘めに味付けしたチャーシューに加え、ゆで卵、ネギ、ゴマも使われる

語り 六盛(ろくせい)関屋睦朗の「別府冷麺」

店主・関屋睦朗さん

ランチタイムは、お店の前にいつも行列ができる。多くのお客さんが『冷麺』を求めて訪れるのだ。その味わいは、店主・関屋睦朗(せきやむつろう)さんと奥様のみどりさんが“食べることが大好きだった”ことから始まったとのこと。

関屋睦朗さん・みどりさん夫妻

「家の近くに冷麺の名店がありました。私は初めて食べた時はキムチが少し辛くて苦手かなと思っていたのですが、何度か食べるうちに、クセになって美味しいと思うようになりました(笑)。けれど、残念ながらその店はなくなってしまいました。その後、主人と『あの冷麺、美味しかったね』とよく話していたんです」と奥様。
「それで、私が家であの味をつくってみようと思ったんです。姉が居酒屋をやっていてよく手伝っていたので料理の素養はありましたが、数年かかりましたね(笑)」とご主人。
当時は酒屋などを営まれていたが、これからのことを考えた末に、2002年大分市内に『六盛』をオープンした。
「大分市ではいまひとつうまくいかなかったんですよ。冷麺は大分市内ではあまり知られていませんでした。当時は、別府の人しか知らないものだったんです。そこで、もともと酒屋をやっていた場所に移転しました。『あの名店の味に似ている』と、懐かしがって来てくれる方もいて、少しずつお客様が増えていったんです。初めは男性客がとても多かったですが、今は女性のお客様も多いですね。1週間に何度も来てくださる方もいるんですよ」。

まず、多くの方に愛される『冷麺』の味わいの秘密についてうかがった。

●麺について
「材料は、小麦粉、そば粉、デンプン、塩。コシのつよさは小麦粉の種類でも変わってしまいますね。水と合わせて手練りした後、生地は一晩ねかせておきます。注文が入ったら生地を計量して製麺機で麺を押し出します。生地を一晩ねかせることで、コシの強い麺がになるんですよ」。

生地を計量し、製麺機で押し出す

●スープについて
「出汁は昆布主体ですが、牛のもも肉も加えて弱火で1〜2時間ほど煮込みます。味付けは塩少々に薄口醤油と濃口醤油。スープは一度冷やすと油が浮いてきますから、それを取り除き、澄んだスープができあがります。昆布の甘味を感じていただけるスープだと思います。上品だけど力強いという感じでしょうか(笑)。冷麺専用のスープですね」。

水を切った麺にトッピングをのせてスープを注ぐ

●キムチについて
「キャベツを細かく切って、塩漬けにして、ニンニク・ショウガ・唐辛子を合わせた元種を混ぜ込んで発酵させます。いい塩を使ってますよ(笑)。透明感が出て酸味が出るとできあがりです。夏は1週間くらい、冬は1〜2カ月かかりますね。夏場は1週間に1度くらい仕込みますが、大きな樽一つに使うキャベツの量は約90個。みんなで黙々とキャベツを切っています(笑)」。

キムチの樽。全体的に透明感が出てくるのが、できあがりのサインとのこと

●チャーシューについて
「牛肉を、醤油、ミリンなどで煮込み甘めの味付けをしています。豚肉のチャーシューと違ってさっぱりしていますね。」

厨房で作り方を見せていただいた。ねかせておいた麺の生地を計量し、製麺機に入れる。製麺機の下は熱湯の入った釜なので、押し出された麺はすぐに湯の中に落ちるという仕組みだ。
「押し出した状態で置いておくと、麺がくっついてしまうんです。だからすぐに湯の中に落としているんですよ」。
2分くらいゆでた後、水で洗い、さらに氷水の中に入れて麺をしめる。そして、麺を絞るようにして水を切った後、丼に入れる。その上にゴマ、ネギ、チャーシュー、ゆで卵、キャベツキムチをのせ、冷たいスープを注いだらできあがりだ。

麺をゆで、水で洗い、氷水でしめる

喉越しがよくもっちりとしたやや太めの麺と、キャベツキムチのシャキシャキ感と辛みを、スッキリやさしいスープが包みこむ。
「お客様から『この麺は何からできていますか?こんにゃくですか?』などと尋ねられることもありますよ(笑)。弾力があって、ツルっとして喉越しがいい、うどんでもラーメンでもない麺ですね。スープとキムチも合わさってクセになる味でしょ?(笑)。締めの一杯や、二日酔いの時にいいという人が多いですよ(笑)。暑くて食欲がない時でも食べやすいですね。麺の量は普通サイズで200g、大盛りは300g、特盛は400gです。普通サイズでもラーメンなどと比べれば麺の量は多いですが、みなさんすいすいと食べられますよ」。
こちらでは、冷麺の麺とスープを温かくしてごま油を加えた温麺、ラーメン、中華そばなども食べられるが、やはり一番人気は冷麺だ。

「お店によって麺もスープも異なりますが、この10年ほどで、『冷麺』は広く知られるようになってきました。県外のお客様も増えてきましたね」。
お二人のお話の中に、『別府冷麺』という言葉は出てこない。
「別府の人は『別府冷麺』とは言いませんね。『冷麺』は別府で昔から食べられている“別府のソウルフード”ですから(笑)」。メニューに書かれている文字も『冷麺』だ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

麺

小麦粉、そば粉、デンプン、塩を手ごねした後、一晩ねかせる。注文が入ってから製麺機で押し出してすぐにゆでる。やや太めだ

スープ

昆布主体で、牛のもも肉も加えて弱火で1〜2時間ほど煮込んだ出汁がベース。塩少々、薄口醤油と濃口醤油を加えたスープだ

トッピング

自家製のキャベツキムチと、牛肉を煮込んで甘めに味付けしたチャーシューに加え、ゆで卵、ネギ、ゴマも使われる

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六盛(ろくせい) 行列が絶えない、飽きのこない冷麺

冷麺、温麺、中華そば、ラーメンなどを食べられるが、一番人気は冷麺。多くのファンに愛されるその味は、店主・関屋睦朗さんとみどりさん夫妻がつくりあげたものだ。弾力があって喉越しがいいやや太めの麺、昆布と牛もも肉を使った出汁から生まれる澄んだスープ、牛チャーシュー、自家製のキャベツキムチ…2002年の開店以来変わらない手作りだ。

『冷麺』750円、大950円、特大1100円。お持ち帰り用の『冷麺セット』1食750円もある。地方発送も可能
ランチタイムは常に満席の店内
写真は松原店。24時まで営業の北浜店もある(詳細はHP参照)

六盛(ろくせい)

住所 別府市松原町7-17
電話 0977-22-0445
営業 11:30〜15:00/18:00〜21:00
休み 水曜
27席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://www.6-sei.com/
※記載した内容は2017年8月23日現在のものです。
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