九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

そうめん

各店で使われるそうめんは、ド・ロ神父が製法を伝え、今もこの地で食べられているもの。手延べ製法でやや太くコシが強いのが特徴

作り方

一般的なそうめんよりも長めにゆでる。ツユで食べる冷そうめんや、温かいツユと合わせるにゅうめんなどで食べる

味わい

冷そうめんのツユも、にゅうめんの温かいツユも、そうめんのしっかりした味わいを生かす味となるように工夫されてる

語り tabedokoro ヴォスロール 日宇スギノの「ド・ロさまそうめん」

店主・日宇スギノさん

ド・ロ神父の足跡を知ることができる記念館や出津教会、一般社団法人『ド・ロさまの家』が管理運営している旧出津救助院が集まるエリアの一角にある小さなレストラン。店名『ヴォスロール』はド・ロ神父が生まれ育ったフランスの小さな村の名前だ。やさしい笑顔で迎えてくださるのは店主・日宇スギノ(ひうすぎの)さん。日宇さんは地域活性化グループ『フェルム・ド・外海(そとめ):フランス語で「外海の農家・農場」の意』の代表でもある。その活動の中で、『ド・ロさまの家』と連携し、『tabedokoro ヴォスロール』が生まれた。「ド・ロ神父の故郷『ヴォスロール』と地元の家庭料理を提供することで、ド・ロ神父の愛の精神をお伝えできればと思っています」。

細かなメニューはなく、日替わりで旬の野菜や魚介を使った料理を食べることができる。
「料理はいろいろです(笑)。パンやパスタなど洋風なものや、お煮しめ、混ぜめしなど外海に昔からある素朴な料理をつくっていますね。日替わりランチでは、スープ、パン、ごはん、大皿にのせた数種類の料理をお出ししています。東京の方など都会の方は素朴な料理に心を動かされるようですね」。

取材時の日替わりランチは『そうめんとアオサとクレソンのスープ』、『自家製パン』、『春菊の混ぜめし』、そして大皿にはムニエル、キッシュ、ガレット、野菜の天ぷらなどがのせられていた。
「混ぜめしには山菜やハーブを使うこともあるんですよ」。

日替わりランチのスープには『ド・ロさまそうめん』が必ず使われている。
「季節の野菜などと一緒に鍋の中でグラグラ煮ます。野菜からいい出汁が出ますからね。そこに醤油や味噌などを加えて味付けします。そうめんは長いままではなくて、スプーンでも食べやすいように細かく折って入れています」。

自家製小麦粉も使った麺を細かく折り、そうめんと季節の野菜を煮て味付けする

「スープの中の具材の一つとしてそうめんを使っているのです。私がつくるスープは具材がいっぱいで真ん中が盛り上がっていたりして、スープというよりも煮物みたいな感じですが(笑)」。

具材を加える

「この地域では、昔からそうめんをよく味噌汁に入れています。私の母も、そうめんを半分に折って味噌汁に入れていましたね」。

器に入れてできあがり

季節の野菜の旨味が加わったやさしいスープと一緒に食べるそうめんは、“すする”とは違う食感を楽しめる。
「季節によって様々な野菜がありますし、美味しい組合わせもたくさん。味付けもいろいろできますから、スープのレパートリーだけでも何百とありますね(笑)」。

何度来ても新しい美味しさと出会えることができそうだ。

日宇さんは、料理に使われる食材づくりにも気を使っている。
「自分で野菜を育てたり、お茶、小麦粉などは、『ド・ロさまの家』やボランティアグループの皆さんのご協力を頂きながらブレンドし、外海ならではの特色が出せるよう工夫しています。ド・ロ神父が伝えたとも言われている柑橘『ゆうこう』の栽培にも取り組んでいます。
足で踏んだりして昔ながらの方法でうどんやパスタを作る体験イベントも開催していますよ」。

お店は完全予約制で、お願いすれば、姿造りや活き造り、自家製粉した小麦粉が使われたパスタ、鯛そうめんなども食べることができる。そして、料理を楽しむとともに、ド・ロ神父やこの地区についての歴史のお話をうかがうことができる。
「今日のスープにはクレソンも入れていますが、クレソンはこのあたりでは『ド・ロさまセリ』と呼んでいるんですよ。ド・ロ神父がいらっしゃった時代、ここは豊かではありませんでした。そこでド・ロ神父が人々にそうめんづくりを教えたり、救助院をつくられたりと尽力されました。それが今につながり、『フェルム・ド・外海』も『ヴォスロール』も多くの方の助けがあって支えられているのです。本当にド・ロさまに感謝しています」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

そうめん

材料に自家製粉した小麦粉も使われたそうめんを使う。スープの具材の一つとしているため、細かく折ってから煮る

作り方

そうめんと季節の野菜をしっかりと煮て野菜の旨味を引き出す。醤油などで味付けをした後、その他の具材も加える

味わい

野菜の旨味が加わったスープと一緒に食べるそうめんは“すする”とは違う食感。使う野菜、調味料によってスープの味わいは無限だ

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tabedokoro ヴォスロール 外海×フランスの素朴な家庭料理

ド・ロ神父の足跡を知ることができる記念館や教会、旧出津救助院が集まるエリアの一角にある小さなレストラン。野菜や小麦粉づくりから手がける店主・日宇スギノさんがつくる料理はどれも素朴でやさしい味わいだ。そうめんは、日替わりランチのスープに必ず入れられる。季節の野菜から出る旨味とからみあい、具材として楽しめるそうめんだ。

『ド・ロさまそうめん』が入った日替わりスープ ※その時によって具材や味付けが異なる
『ド・ロさまそうめん』が入ったスープ、旬の野菜や魚介を使った料理、自家製パン、混ぜめしが食べられる日替わりランチ800円(税込)。プラス300円でデザートとフレッシュハーブティーが付く
お願いすれば自家製粉した小麦粉も使われたパスタを食べられる ※その時によって具材や味付けが異なる
家に招かれたようにリラックスできる空間
お店は『長崎市ド・ロ神父記念館』から少し入ったところにある

tabedokoro ヴォスロール

住所 長崎県長崎市西出津町2696-2
電話 0959-25-0018
※完全予約制
12席
カード 不可
駐車場 あり
URL なし
※記載した内容は2017年6月22日現在のものです。
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