九州の味とともに 夏

宮崎 旭蟹

朝日のごとく輝く鮮やかな赤色
南国・宮崎でいただく夏の蟹

ゆでたり蒸したりされて火が通った旭蟹。皿にのった姿は“蟹”と言われてイメージする形とは少し違う。スパナのようなはさみは薄く小さいし、足も短い。蟹ではあるが、“ヤドカリ”類にも近い存在で、横ではなく縦に動くのだという。

旭蟹は黒潮沿いの西日本の海(大隅半島の南から和歌山県の南)、主に九州南部に生息する。水深10〜50mほどの砂地に生きるため、水圧の関係で陸に揚げると弱るし、高温にも弱いので、食べられる地域は限定されてしまう。宮崎は漁場に近いため美味しい旭蟹を食べられる貴重な場所なのだ。

シンプルにして旭蟹の味が一番よくわかる食べ方は、ゆでたり蒸してそのまま食べること。身の繊維は細く、やわらかな甘味がある。蟹みそは濃厚。はさみや足に身が少ない分、甲羅の中には身も蟹みそも詰まっているようだ。醤油と酢をベースにした酸味のあるカニ酢につけていただいても旨い。冬の手前も美味しくなるが、一番の旬は夏。産卵期に入る初夏のメスなら濃厚な卵も味わえる。最後は口の中を怪我しないように気をつけながら殻ごとしゃぶるのがいい。

名前の由来は、生きている時も赤い朝日のような色だからと言われているが、火が入るとその赤色はさらに鮮やかになる。まさに明るい南の海の恵みといえる蟹だ。

旭蟹について

宮崎市内から南へ車で約30分の青島漁港は、マグロや伊勢えびで有名な港だ。こちらで漁師をされて50年以上という岡村清一さんに旭蟹漁についてうかがった。

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「旭蟹は宮崎では1年中獲れるんやけど、私は5月中旬から夏まで獲りよりますね。夏前の、卵が入ってる時期のメスはうまいよ。あと、10月位もうまいね。漁は、海にうねりがあったりすると獲れんです。天気がよくて、水が澄みきった時じゃないと獲れんのです。この辺りでは、深さ15〜30mくらいのきれいな砂地におるよ。砂にもぐる時は素早く動いて深くもぐるね」。

旭蟹の漁は早朝から始まるとのこと。
「朝5時くらいに港を出て、5マイル(約8km)くらいのとこに仕掛けときます」。

仕掛けは、丸い針金の輪っかに網を張ったもの、中央にエサをひっかける鍵状のものがついている。
「エサはイワシとかかな。旭蟹が砂地から出てくるのは10〜13時くらいみたいやね。1日に1回だけ、何回もやっても出てこんね(笑)。エサにつられた旭蟹が網にひっかかるわけやね。深いところにおる旭蟹は色が濃いみたい。網を引きあげたら、網に枝(手足)だけがついとる時がある。でね、横みたら亀がゆら〜っと泳ぎよったりするとです。亀は旭蟹が大好物やけん食っちまうんよね(笑)。旭蟹は底から引き揚げたらすぐに弱るし、水温が高いとこでも弱ってしまうね。弱ると枝が折れやすくなってしまうね」。

旭蟹を見続けられて半世紀以上、変わってきたことはあるのだろうか?
「昔は1つの網に7〜8匹ぐらいひっかかりよったけど、今は多い時でも3匹くらいしかひっかからんね。それに大きさが全体的に小さくなってきよるようです」。

仕掛けはすべて手作りとのこと

「旭蟹」、二様。

二人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
ゆで方・蒸し方

ゆでる、あるいは蒸す、という料理法で提供された旭蟹がその旨味が一番わかる。各店が料理法に工夫を凝らしている

カニ酢

酢と醤油を使ったさっぱりしたカニ酢をつけていただくのも美味しい。二杯酢、三杯酢など、酸味や甘味のバランスが重要

その他の旭蟹料理

シンプルな食べ方だけではなく、旭蟹を使った様々な料理もある。そのどれもが、旭蟹の旨味を別な角度から引き出している

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