九州の味とともに 秋

この料理の"味のキーワード"

具材

基本となるのは細く切ったサツマイモ。カボチャ、ニンジン、タマネギが使われることも多い。季節の野菜や山菜が入ることもある

衣と味付け

衣は小麦粉と水がベース。ただし天ぷらとは違い醤油、砂糖などで衣に味付けをする。甘いものも、やや塩辛いものもある

揚げ方

具材と衣をしっかりと混ぜ合わせた後、油で揚げる。表面はカリッと、中はふんわりとした食感に揚げることがポイントだ

語り レストラン朝霧 黒木和彦の「がね」

黒木和彦さん

JAが運営している農産物直売所が『JAファーマーズマーケット』。全国的に展開され、都城市に2011年にオープンしたのがその一つである『朝霧の里 みやこんじょ直売所 ATOM』だ。店内には生産者が毎朝搬入する朝採れの新鮮な野菜や、地元産の食肉などが並ぶ。併設されている『レストラン朝霧』では、これらの地元産の食材を使った料理が味わえる。

『レストラン朝霧』は2つのスペースに分かれている。白を基調にした明るい『バイキングレストラン』では、野菜をたっぷり使った料理をはじめ60種類以上のメニューが食べ放題。落ち着いた雰囲気の『お肉料理レストラン』では、ステーキ、焼肉、ハンバーグ、チキン南蛮など、地元産の肉類を堪能できる。

料理長・黒木和彦さんにお話をうかがった。
「おすすめの料理は…すべてですね(笑)。野菜は農家さんが毎朝6:30頃に持ってこられるのですが、バイキングのメニューを決めるのはそれから。新鮮な野菜はどれも美味しいですね。それに都城は牛肉も豚肉も鶏肉も美味しいです。私たちは常に地産地消を目指しています」。

『がね』も『バイキングレストラン』に並ぶ人気メニューだが、使われる具材は変わることもあるのだそうだ。
「『がね』は一年中食べられるもので、基本はサツマイモですが、ゴボウを入れたり、水菜を入れたり…季節の野菜が入りますから、日によって変わったりしますね」。

『バイキングレストラン』で食べられる『がね』

取材時の具材は、サツマイモ、カボチャ、ニンジン、タマネギ、ショウガ。ショウガ以外の野菜は粗い千切りに、ショウガは細い千切りにされる。

サツマイモ、カボチャ、ニンジン、タマネギは粗めの千切り。ショウガは細い千切り

「サツマイモが全体の1/3ぐらいですね。具材すべてをボウルに入れて衣をからめます。衣は小麦粉、卵、砂糖、薄口醤油」。

具材と小麦粉、卵を合わせ、砂糖と薄口醤油で味付けする

「粘りが出るまでまんべんなくよく混ぜます。『がね』は簡単に言うと野菜のかき揚げみたいなものなのですが、よく混ぜるというところが天ぷらとは違うところですね。天ぷらでは、粘りが出るまで混ぜるのはダメだからね。混ぜ合わせたら、すぐに揚げます。時間が経つと、野菜の水分が出てベチャベチャになってしまうからです」。

粘りが出るまでよく混ぜ合わせる

手で軽く形づくり、油の中に投入していく。
「『がね』とは南九州の言葉で“カニ”のことで、できあがりがカニに似ているから『がね』なんです。だから、あまり丸くならないようにして、カニの形になるように揚げていますよ(笑)」。

カニの形になるように形づくって油に入れる

「衣に砂糖が入っていて焦げやすいので、175度ほどの油で色づく程度に揚げてできあがりです」。

175度くらいの油で焦げないように注意しながら揚げる

できあがった『がね』は表面のサクッとした食感と合わせてふんわりとした食感も。衣の甘味とさつまいもの甘味が広がる。
「うちの『がね』は、卵をたくさん使ってふんわりとさせているんですよ。サツマイモが入っているので甘くて美味しいでしょう? ショウガの味もいいでしょう? しっかりと味がついていますから、そのままでも美味しいのですが、醤油をちょっとつけたり、天つゆに入れても美味しいですよ。それから、揚げたても美味しいですが、冷めても美味しいです。冷めたほうが好きだという方もいらっしゃいます。いろんな好みがありますね(笑)。冷めても美味しいのでお弁当のおかずにもなります。仕出し弁当も作っているのですが、『がねを入れてください』という注文もありますね。南九州以外の方には珍しい料理かもしれませんが、みやこんじょ(都城)では昔からあって、みんな好きなものですね。私の母親もよく作ってくれましたよ。甘味もありますから、小さなお子さんから、ご年配の方まで幅広い年齢層に愛されていると思います。おやつにもつまみにもなりますからね。子どもの時はおやつとして、大人になったら焼酎のつまみなんです(笑)」。

『がね』は、“みやこんじょ”というやわらかな響きのように、やさしい味わいの郷土料理なのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

具材

取材時の具材は、サツマイモ、カボチャ、ニンジン、タマネギ、ショウガ。旬の野菜が使われるので日によって異なる場合もある

衣と味付け

衣に使われているのは小麦粉、卵、砂糖、薄口醤油で甘めの味付け。ふんわりと仕上げるため、卵の分量が多めとのことだ

揚げ方

具材と衣をよく混ぜ合わせたら、カニの形になるように手で形づくってすぐに油の中に入れていく。全体が色づくまで揚げる

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レストラン朝霧朝採れの新鮮な野菜が食べられるレストラン

生産者が毎朝搬入する朝採れの新鮮な野菜や、地元産物の食肉などが並ぶ農産物直売所『朝霧の里 みやこんじょ直売所 ATOM』に併設されたレストラン。白を基調にした明るい『バイキングレストラン』では、『がね』をはじめ60種類以上のメニューが食べ放題。『お肉料理レストラン』では、ステーキ、焼肉、チキン南蛮など、地元産の肉類を使ったメニューが並ぶ。

『バイキングレストラン』で食べられる『がね』とその他の料理の一部。ランチバイキングは一般1100円、子ども650円、幼児350円
『お肉料理レストラン』で食べられる『都城和牛ヒレステーキ』洋セット4950円。150gのヒレステーキが付く
『お肉料理レストラン』で食べられる『都城コース』4100円。サーロイン、カルビなどが付く
『お肉料理レストラン』で食べられる『チキン南蛮定食』900円
カフェのようにオシャレで明るい『バイキングレストラン』の店内
シックな雰囲気の『お肉料理レストラン』

レストラン朝霧

住所 都城市高木町6316
電話 0986-38-3322
営業 ●バイキングレストラン
11:00〜15:00(制限時間1時間)、
土曜のみナイトバイキングあり
18:00〜21:30(制限時間1時間30分)
●お肉料理レストラン
11:00〜OS14:30/17:00〜OS20:30
休み 不定
●バイキングレストラン88席
●お肉料理レストラン54席
カード ●バイキングレストラン/不可
●お肉料理レストラン/可
駐車場 あり
URL なし
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