九州の味とともに 秋

宮崎 かにまき汁

ふわりと浮かんだ山太郎ガニの旨味
北郷に秋を告げる味噌仕立ての汁物

かにまき汁』は宮崎県南部の北郷町(きたごうちょう)に伝わる郷土料理。北郷町を流れる酒谷川(さかたにがわ)や広渡川で秋から冬にかけて獲れる『山太郎ガニ』(北郷町での呼称で正式名はモクズガニ。上海ガニの仲間)を使った料理だ。『山太郎ガニ』は海で生まれ、川を上って成長した後、海で産卵するために川を下る。それを狙って、漁を行うのだ。

生きた『山太郎ガニ』をよく洗った後、甲羅を外し、臼と杵、あるいはミキサーにかけて、細かく砕きつぶす。そこに、水と味噌を加えてさらに混ぜ、ザルで、きれいに濾して鍋に入れる。弱火でゆっくり熱を加えていくと、カニに含まれるタンパク質や味噌の成分などが反応し、おぼろ豆腐のように固まっていく。それを器に入れ、おろしショウガやネギを加えてできあがり。澄んだ味噌仕立ての汁に浮かぶ、ふわふわとした食感のなかに、カニの旨味が凝縮されている。ゆでて食べてもおいしいカニを、少しも無駄にせず丸ごとすりつぶすことで、濃厚な旨味が生まれるというわけだ。

味噌がカニの旨味を包み込むこと、巻くことから、その名前がついたとも言われる『かにまき汁』。その独特の味わいは、この地域の方々が秋になると待ちわびているものだ。

かにまき汁

■山太郎ガニについて
『山太郎ガニ』について、『日南広渡川漁業協同組合』代表理事組合長・戸田博さんにお話をうかがった。

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●『山太郎ガニ』の習性
「『山太郎ガニ』は海で生まれて川を上り、川で育ちます。川の上流に行くほど大きいカニがいるようですね。そして、3年ほどした後、産卵のために海に下るのです。そのピークは10月中旬で、時間帯としては夜に下っていきます。

身体もハサミも大きい左が『山太郎ガニ』のオス、一回り小さい右がメス

オスは、ハサミが大きく、メスは、ハサミが小さいです。卵をもっているメスは特に美味しいですね。カニは頭が良くて、海から川を上ってくる時は、大潮を利用しています。また、川を下るのは雨が降った後の水量が多い時ですね」。

●漁について
「川を下る『山太郎ガニ』を獲る漁は、9月1日から11月末までと決まっています。仕掛けは鉄製のカゴに、カツオの頭などを入れて、匂いでおびき寄せます。『山太郎ガニ』は、夜に川を下る習性がありますから、夕方に仕掛けて、翌朝にカゴを引き揚げるんですよ。仕掛ける場所は長年の勘です。

酒谷川に仕掛けておいたカゴを引き上げる戸田さん。
酒谷川では、6月は川エビ、秋には鮎と山太郎ガニがよく獲れるのだそうだ

昔から、『ここに仕掛けるとカニが入りやすい』という場所もありますね。水量が多い時に川を下りますから、雨上がりにはよく獲れます。昔は、竹を使った道具もありましたね。環境保護のため、7月~8月くらいには稚ガニの放流を上流でやっています」。

●かにまき汁について
「私も『かにまき汁』を作りますが、臼と杵を使ってカニをすりつぶします。ミキサーで作るとこもありますが、カニは硬いから、ミキサーがすぐに壊れてしまいますよ。特にオスは硬いですね。甲羅は外してしまって料理に使わない方も多いですが、私は甲羅も含めて、まるごとつぶして作っています。小さい頃に川でカニを捕って、家に持って帰って食べていました。終戦後は、食糧難だったしね…。カニは栄養あるし、美味しいし、お客さんが来たら出したりします。南国日南市北郷の郷土料理、秋の味ですね」。

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「かにまき汁」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
作り方

『山太郎ガニ』の甲羅を取った後、まるごと細かくすりつぶす。そこに水と味噌を加えて混ぜ合わせ、ザルで丁寧に濾す

温め方

濾したものを弱火で温める。ゆっくりと温めることによって、カニの旨味が凝縮された、ふわふわの固まりができあがる

薬味

より食べやすくするためと、味わいにアクセントをつけるため、すりおろしたショウガとネギがよく使われている

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