九州の味とともに 秋

この料理の"味のキーワード"

材料

米、大豆、鶏肉、タマネギ、サトイモ、ニンジン、干しシイタケが基本的な材料。カボチャ、ゴボウなどが加わることもある

味付け

醤油、みりんが味のベース。砂糖を使う場合もある。それぞれの材料から出る旨味を生かすため、味付けは薄味だ

作り方

鶏肉、野菜を炒め、そこに水に漬け、やわらかくして砕いた大豆、水、米を入れて味付けする。焦げないように混ぜることがポイント

語り 鮎の瀬交流館 山里の会の「かすよせ」

山里の会のみなさん

『熊本アートポリスプロジェクト』の一環として作られた美しい橋が『鮎の瀬大橋』。そのすぐ横にあるのが『鮎の瀬交流館』だ。地元の特産品が並ぶ中、こちらには『かすよせ』を使ったコロッケが販売されている。カリッとした衣の中に、少しもっちりとした食感の『かすよせ』。揚げ物なのに、やさしい味わいで何個でも食べられそうだ。
「ここではね、揚げているだけなんですよ。かすよせを作って、丸めて衣をつけるのは、加工所でやっているんですよ」。

山都町では、『山都ころっけ街道』と称して様々なコロッケを売り出し中。その一つとしてかすよせコロッケもあるのだ。
車で約5分、元は幼稚園があった場所にある加工所へおじゃました。

加工所では地元の主婦の方々のグループ『山里の会』のみなさんが、『かすよせコロッケ』、かりんと、まんじゅうなどの素朴な味を作っている。取材時は、渡辺ヤスエさん、松野広子さん、緒方セイ子さんがピンクのユニフォーム姿で『かすよせ』を作られていた。

「『かすよせ』の材料はこのあたりで採れるものがほとんどですね。サトイモ、ニンジン、タマネギ、干しシイタケ、鷄肉、米、大豆。昔からある郷土料理で、人が集まる時には欠かせないごちそうだったんですよ。カボチャを入れたりもしますね。米と大豆を同じくらい入れるんですが、米が貴重だった頃、お米の代わりに量を増やすために大豆を入れていたのでしょうね。戦時中もお米が貴重でしたから、よく食べられていましたよ。その昔、この界隈で大豆はとてもよく採れていたようです。『かすよせ』は、熊本県でも、この界隈だけで食べられているものですね」。

水に漬けておいた大豆と水をミキサーにかける

大豆は一晩水につけておき、一度ざるにあげた後、大豆2に対して水3を一緒にミキサーで攪拌しておく。
「この攪拌具合で、食べた時の舌ざわりが変わりますね」。

野菜類などはすべて1cm角に切る

米以外の材料はすべて1cm角くらいに切る。
「サトイモは茹で、干しシイタケは水で戻すという下準備も必要です」。

材料を炒め、味付けする

大きな鍋に油がひかれ、タマネギ、鶏肉、シイタケ、ニンジンをよく炒める。そして、この状態で味付けする。
「『秘伝のタレ』と書いといてください(笑)。濃口醤油、薄口醤油、みりん、砂糖などを合わせたものですよ。タマネギの甘味や野菜の味も出ますから、そんなに濃い味付けではないですね」。

水をはった鍋につぶした大豆と米を入れる

ここで、野菜を炒めた鍋とは違うもう一つ大きな鍋が登場する。
「たっぷりと油を入れて、ミキサーに入れてすりつぶした大豆とお米を入れて焦げつかないように混ぜます。油と大豆は相性がいいですからね。吹き上がったら、全体に火が入った証拠です。家で作る時は一つの鍋で作りますが、うちでは2つの鍋で作ったものを最後に合わせているんです」。

二人で焦げないように混ぜる

米と大豆が入った鍋を、お二人が休みなく大きなしゃもじで混ぜ続ける。
「段々と粘りが出てくる鍋の中を混ぜるのはかなりの力仕事なんですよ。焦げつかないようにしっかりと混ぜんといかんけん、本当は男の仕事じゃないのかな(笑)。しゃもじの感触でできあがりがわかりますよ。家で作る時も、混ぜる時は目が離せないし大変ですね」。

火が通ると、吹き上がってくる

炊き上がったら、一旦表面が上がってぼこぼことなるので弱火にする。ここに炒めて味付けした野菜類を加えて混ぜればできあがりだ。

味付けした材料を入れて混ぜる

「少し蒸らして食べると美味しいですよ。お昼ですし、一緒にいただきましょう。私たちもまかないでよく食べるんです」。

できあがったらふたをして蒸す

できたばかりの温かい『かすよせ』は、見た目には、おからのような、白和えのようなもの。しかし、お米とサトイモから生まれるもちもち感があり、その中に大豆の粒も感じられる。

まだ温かい『かすよせ』

「家々で作っているものも多いし、お家でできる料理です。お母さんから子どもに伝え、受け継ぐ味ですね。私たちが作った『かすよせ』は、この加工所まで来ていただいて、その時あれば、買っていただくこともできますよ(笑)。不思議な料理だけれど、主食として食べられていたのではないでしょうか。『かすよせ』は『おしよせ』とも呼ばれています。私たちも、お客さんが押し寄せてくるように、『おしよせ』と呼んでます。大豆の皮まで入っているし栄養満点、『栄養よせ』とも言えますね(笑)」。

コロッケ作りをするみなさん。左から、渡辺ヤスエさん、松野広子さん、緒方セイ子さん

みんなで『かすよせ』をいただいた後は、コロッケ作りだ。
「コロッケ用のかすよせは、丸めやすいように、もう少し火を入れて水分を飛ばしておきますね」。

一つの大鍋で一度に作るのはコロッケ250個分。1コ1コ丸められ、衣が付けられていく。丸める渡辺さん、小麦粉と卵液をつける松野さん、パン粉をつける緒方さん…息のあったスムーズな流れ作業だ。
「みんな仲良く和気あいあいがモットーなんです!(笑)」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

材料

サトイモ、ニンジン、タマネギ、干しシイタケ、鶏肉、米、大豆。これが『かすよせ』の一番基本的な材料だ

味付け

濃口醤油、薄口醤油、みりん、砂糖などを合わせたもので味付けする。タマネギの甘味や野菜の旨味があるので濃い味付けにはしない

作り方

鍋で鶏肉と野菜類を炒めて味付けする。別の鍋にすりつぶした大豆と米と水を入れて焦げないように炊き上げ。すべてを混ぜ合わせる

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鮎の瀬交流館鮎の瀬大橋の横にある物産館

地元で採れた米や野菜、手作りの饅頭、コンニャクなどを販売している物産館。『山里の会』のみなさんが手作りした『かすよせコロッケ』(1コ100円)も販売している。

『かすよせコロッケ』1コ100円

鮎の瀬交流館

住所 上益城郡山都町菅488-1
電話 0967-72-4061
営業 10:00〜17:00
休み なし
カード 不可
駐車場 あり
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