九州の味とともに 秋

熊本 キダコ料理

顔はいかついが、身は淡白な白身
コラーゲンたっぷりのウツボ料理

『キダコ』とはウツボのこと。熊本県天草地方で使われている呼び名だが、その由来は明らかではない。漁師たちは船の上では湯引きなどにして食べていた。また、祝い事の席にもウツボを使った料理はよく食べられていたのだという。現在、天草地方では、ウツボを使った料理を出す店もあり、天草の郷土料理として注目を浴びている。

ウツボはウナギの仲間の海水魚で、鋭い歯を持ち獰猛(どうもう)な性格。生命力もすこぶる強く、締める時にかみつかれることもあり、下ごしらえには注意が必要だ。さらに、表面にヌメリがあること、皮と身の間にゼラチン質があるため、非常に切りにくいこと、小骨が多いため特別な処理が必要なことなどから、料理人泣かせの魚だとも言われている。

しかし、身は外見からは想像できないほどの美しい白身。刺身にするとプリプリの弾力感ある歯応えと上品な味わいでフグ刺しと遜色はない。ゼラチン質には天然のコラーゲンがたっぷりと含まれていることからプルプルの食感と合わせて美肌効果もある。また、タンパク質や鉄分などが多く滋養強壮にも役立つ。『キダコ料理』は、美容にも身体にも良い、とてもヘルシーな料理なのだ。

刺身、湯引き、唐揚げ、天ぷら、煮物、しゃぶしゃぶなど料理法は様々。料理毎に異なる『キダコ』の食感と風味を楽しみたい。

キダコ漁

キダコ(ウツボ)がよく揚がる倉岳(くらたけ)漁港。キダコ漁について、「母親の腹の中におる時からずっと海におるね(笑)」という誠漁丸(せいりょうまる)船長・松本誠さんに話をうかがった。

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「俺の母親もキダコと呼びよったけど、呼び名はあちこちで違うみたいやね。ウツボ漁に行くわけやなくて、クエとかアラのはえ縄漁に行くと獲れるんよ。ただ、はえ縄で獲るのは自分たちと五和町の漁師くらいかな。牛深ではツボみたいなので獲る方法もあるけど、それで獲れるキダコは小さかね。俺たちは外海(そとめ)、牛深(うしぶか)、甑島(こしきじま)あたりまで行くよ。キダコは口の根元の方の歯は外側向いとって、カミソリみたいに鋭かけん気をつけとかんといかん。俺たちは慣れとるけん、そげん怖くはなかけど、食いついてきたら、とぐろ巻くみたいにしてぐるぐる回りながら、肉をくいちぎろうとするけん危なか。けど、食べたら旨かもんね。船の上でもおかずがない時は、煮付けたり湯引きにしたりして食べるよ。この10年くらいで獲れる量がえらく減って1/10くらいになった。大きさも小さくなったね」。

夏はハモ漁でもにぎわう倉岳漁港

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「キダコ料理」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
下ごしらえ

締めて、3枚におろした後、食べにくくならないように小骨の処理をする。表面のヌメリの取り方をはじめ、その方法は様々だ

刺身(薄造り)

骨のない部位を使ったり、骨をうまく処理したりと、プリプリとした歯応えのある食感を最大限に引き出したりと、料理人の腕の見せ所

自慢料理

皮や、皮と身の間のゼラチン質までも美味しく食べさせる料理を各店が工夫し、自慢のウツボ料理を提供している

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